ゆうやんのアトランタ路地裏ブログ

Magic: The Gatheringの大会参加レポやデッキガイドなど

マイルドセレクトと親父

父の日になると、各々の父との思い出がツイッターで語られて、俺も親父のことを思い出す。

俺の場合、まず思い出すのは「マイルドセレクト」。

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親父が愛して止まなかった、今は無きタバコの銘柄だ。廃盤となってからは色々なタバコに手をだし、セブンスターに落ち着いてはいたが、いつもマイルドセレクトを吸いたいと言っていた。

 
親父は、俺が中2の時に癌になった。発覚した時には末期癌で、即入院となった。

とはいえ、親父は食事がほとんど摂れないことを除けばものすごく元気だった。可愛い看護師さんの名前を俺に教えてきたり、入院中にも関わらずコンタクトレンズを欠かさなかった。

中でもタバコの量だけはむしろ増えて、その時に「死ぬまでにマイルドセレクトが吸いてぇなぁ」なんて愚痴をこぼして笑っていた。もしかしたら、俺を心配させたくなかったのかもしれない。

 
だから俺は日々、マイルドセレクトを探していた。コンビニには元々廃盤になる頃には既になかったため、小さなタバコ屋などをたまたま見つけると、店員に訊ねる。探していると言ってもその程度だ。「マイルドセブンならあるよ」というお決まりの返しにも慣れていた。

 
2ヶ月後、親父の容態が急変して、家族が呼び出された。その頃には親父はタバコもほとんど吸わなくなくなり、誰の目から見ても弱っていた。だから、いよいよという覚悟が俺と母にはあった。

病室に座り、弱った親父を二人で見つめる。

親父は体を鍛えることが趣味で、仕事の休憩中にも筋トレをしていたほどだった。NTTを辞めてからも毎日5時間ゴルフをして、その後マラソンに行っていた。今の俺なんかより、よっぽど健康的な肉体をしていた。
だが、ベッドで眠る親父は、衰弱しきっていた。病院で見たどの親父よりも、弱弱しかった。

中学生の俺は、親父との死別について、心構えがある程度出来ていた。それでもいざ死に目を見るのは、俺には耐えられなかった。

だから俺は外に出ることにした。「死ぬ瞬間を見たくない」という幼稚な理由を隠すために、「親父のタバコを買ってくる」と言って。

 
近隣を駆け回り、俺は闇雲にマイルドセレクトを探した。とにかく、今起きていることから目を背けるために走った。もちろんタバコは見つからなかったが、心のどこかではそれを望んでいたのかもしれない。

気が付いたら、3時間が経過していた。それがなぜわかったかというと、母から電話があったからだ。それは臨終の知らせだった。

10月だというのに俺は汗だくで、その瞬間、汗がじわりと額を伝ったのを、覚えている。

 
親父の死に目に立ち会えなかった後悔は、徐々に増して来た。毎年、父を思い出す行事があると、その後悔がこみ上げてくる。

逝く前に、親父は俺の顔を見たかっただろう。伝えたいことがあったかもしれない。だが俺のワガママで、親父の最期の機会を奪ってしまった。

 
父の日と、そして墓参り、命日。これらの時、毎年俺は仏壇とお墓にタバコを供えることに決めている。

一度逃げてしまった俺にできることといえば、親父のためにマイルドセレクトを探すことぐらいだ。

いつもマイルドセレクトは見つからない。10年以上前に見つからなかったタバコが今更売っているわけもない。それはわかっている。

それでも、探す。

 
結局今年もマイルドセレクトは見つからず、仕方なく俺はセブンスターを供えた。すると親父の愚痴が聞こえてくる。
「やっぱり味が違う」何度も聞いた、お決まりの文句。両手を合わせながら、心の中で答える。
「ごめん、マイルドセレクトなかった」

 
マイルドセレクト。

どんな味かは俺にはわからない。でもきっと、親父の最期から逃げてしまった記憶と同じぐらい、苦いのだろう。

5か月で30キロ痩せるまで~メンタルを支配するものは肉体を支配する~

実は俺、2016年に97キロから67キロまでダイエットしました。

いかにして俺が5ヶ月で30キロのダイエットに成功したか、その方法の話をします。
ダイエットに必要なこととかだけを最後にまとめてあるので、俺の痩せるプロセスに興味のない方は、一番下まで進み、「ダイエット方法まとめ」をご覧ください。

ダイエット方法は主に糖質制限となります。なので、はっきり言ってしんどいことが多々書いてありますので、ご注意ください。

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ちなみに、これが俺のビフォーアフターです。

ビフォー(mtg.jpより引用)

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アフター(hareruyamtg.comより引用)

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はじまり
2016年、5月。俺の体重は97キロだった。
スポーツを辞めた16歳ごろから急激に太り始めた俺は、時が経つにつれて、自らの服のサイズがLから2XLに変化して行くことを自覚しつつも、特に痩せようとは思わなかった。

太ったからと言って別段日常生活に影響はなかったし、快楽の一つである食をそもそも我慢できなかったのだ。

そんな俺が痩せようと決意したのは、二人の友人に再会した時。

ある日、俺は友人Aに再会した。Aは見た目でわかるほど、激ヤセしていた。
そしてまた別の日。Aとは面識がないであろう友人Bに会った時、彼もまた、激変と言って差し支えないほどのダイエットに成功していた。

俺は、失礼ながら彼らのことを「ダイエットすると国から100万が出ると言われても痩せようとしないはずだ」と思っており、また、俺もその一人だった。
言うなればデブ仲間だと思っていたのだ。

最早、人類で太っているのは俺だけなのではないだろうか?
取り残された気持ちになった。


完全無欠コーヒー
久しぶりに再会した友人が痩せていたら、どうやってダイエットしたのかを聞くのが普通だ。ダイエットに興味が有ろうと無かろうと、世間話程度でとりあえず聞いてみるだろう。
俺が友人Aにダイエット方法を聞いた時も、そんな軽いノリだった。

Aが教えてくれたのは、完全無欠コーヒー
シリコンバレーの、とか、米を受け付けなくなるとか、とにかく胡散臭いという印象を抱いたのを今でもよく覚えている。

だが、この完全無欠コーヒーこそが、俺のダイエットを語る上では欠かせない存在。主役だ。

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完全無欠コーヒーとは、簡単に言ってしまえば、コーヒーにバターを入れて飲む、いわゆるバターコーヒーのことだ。最近ではコンビニでもバターコーヒーが置いてあり、流行っているのが如実にうかがえる。一度は聞いたことがあるのではないだろうか。

ここで多くの人が誤解している事柄を訂正しよう。
完全無欠コーヒーは、飲むだけで痩せていく魔法のコーヒーではない。どちらかというと、普通のコーヒーよりもカロリーは高いし、だから「ダイエットコーヒー」だと勘違いして飲みまくっていても、意味はないどころか、太ってしまう。

では何がダイエットに効果があるのかというと、完全無欠コーヒーは普通のコーヒーに比べて格段に腹持ちが良い
例えば、朝に完全無欠コーヒーを飲むと、ランチタイムにがっつり食べようという気にならない。そこで摂取カロリーを抑えるダイエットなのだ。

簡単に言ってしまえば、俺が実践した完全無欠コーヒーによるダイエットは、「ご飯を食べる代わりに完全無欠コーヒーを飲んで我慢しよう」ということだ。

「コーヒーなんかで我慢できるわけない」と思うかもしれないけども、これが実はそんなことがない。
決してお腹が空かないというわけではないのだが、サラダとちょっとしたおかずを食べれば満足できる程度に、朝の完全無欠コーヒーは腹を満たしてくれるのだ。

ここで、完全無欠コーヒーによる効果をわかりやすく説明しよう。

朝・おにぎり1つ(250カロリー)
昼・定食(800カロリー)
夜・ラーメン(1000カロリー)
という生活を送っている人は、250+800+1000で約2050カロリーを一日に摂取している。ここにお酒やお菓子で2500カロリーといったところだろうか。

この朝ご飯を完全無欠コーヒーにして、昼に炭水化物を控えておかずだけを食べれば、500カロリー近く減らすことができる。
これがどれだけ大きいかは、今更語るまでもないだろう。


完全無欠コーヒーの作り方
完全無欠コーヒーに興味を持った人だけがここまで読んでくれていると仮定して、ここに簡単な作り方を書いておく。
以下は、実際に俺が購入したもの。どういう効果があるのかは実のところ知らず、友人Aに勧められたものをそのまま買った。

コーヒー豆:http://amzn.asia/81EhUxD
バター:http://amzn.asia/1QOR9Mv
オイル:http://amzn.asia/imzhWAz
クリーマー:http://amzn.asia/fNxwFcZ

まずはビーカーにコーヒー豆をスプーン2杯分ほど入れ、バターを一切れ。そしてオイルを小さじいっぱい程度入れて、お湯を200ml注ぐ。後はクリーマーで1分間かき混ぜる。
このかき混ぜるという行為が非常に大事。手でかき混ぜれば良いと思うかもしれないが、機械で混ぜると圧倒的に美味しくなる。というか、機械で混ぜないとバターがしつこくて不味い。
しっかり混ぜると、クリーミーで美味しい。


ちなみに完全無欠コーヒーを作ってる動画ではマッチョなお兄さんが長時間かけて頑張ってるけど、ここまでやらなくていい。多分。

豆はなんでも良いが、上にあげたものが美味しいのでおすすめ。
バターはグラスフェッドバターであればなんでも良い。アマゾンで購入すると時間がかかる上にまとめ買いすると、使い切る前に賞味期限が切れてしまうこともあるので、少し厄介。
成城石井などにグラスフェッドバターが売っているそうなので、見てみると良いかも。通常のバターだと味がかなりまずくなるので注意。



ダイエット生活の開始
5月に話をされたものの、実際にダイエットに踏み切ったのは7月。

何事も形から入るタイプの人間だった俺は、コーヒー豆とバター、ついでにクリーマーも揃えて、ようやく重い腰をあげたのだった。

さて、食事はというと、
朝・完全無欠コーヒー
昼・サラダとおかず
夜・定食
という生活を送っていた。

以前までは昼ラーメン、夜ラーメンがデフォルトだったため、大体700-800カロリーほど軽減したことになる。

そしてこれが当然のことながら劇的な効果。
一日で1キロぐらい落ちていき、1週間で6キロ。

確かにお昼にラーメンを食べられないのは辛いが、それでも我慢できないわけではない。もちろん食べられるなら食べたいが、どうしても食べなければ午後動けなくなるわけではない。
それぐらいならば我慢して、体重計に乗って痩せた数値を実感したいと思うようになったのだ。 

劇的な効果がすぐ数値として現れることでモチベーションが維持できて、それが「ラーメンを食べる幸福」を上回っていたというわけだ。
体重計に乗れば成功体験を得ることができ、それが食以上の快楽となったとも言える。

食以上の楽しみを見つけるのが、ダイエットにおける一番の肝である。



ダイエットにおけるメンタルの重要性
2週間も経つと、もちろん体重の落ち方は緩やかになり、結局合計で9キロほどの減量となった。
この頃にはお昼にサラダ、夜お腹を空かせて帰ってきてご飯を食べるという生活にも慣れてきていた。

そんなある時、考えた。これで夜にもご飯を食べなかったらどうなるか?と。

だがそれは現実的ではなかった。お昼にご飯を我慢できる理由は、体重計に乗って成功体験を獲得したい他に、もう一つあるからだ。
そう、夜のご飯への楽しみだ。

なぜ長距離マラソンを走り続けることができるのかといえば、それはゴールが設定されているからだ。何キロ走るかわからない、ゴールがない、そんなマラソンを、人は続けられない。
夜にご飯を食べないということは、マラソンのゴールを撤廃するのと等しい。お腹を空かせて夜を迎えて、だが夜もサラダで我慢して、また朝コーヒーを飲むなんて、考えられなかった。

考えが変わったのは、偶然の出来事がきっかけだった。その日、俺はご飯を炊くのを忘れて、慌てて帰宅してから炊き始めた。
そしてその炊いている間に我慢できずに、おかずの肉を食べていた。炊いたご飯はふりかけでもかけて食べようと考えていたのだ。
肉、サラダを食べて、味噌汁をたいらげて一息ついたところで、炊飯器がご飯の出来上がりを告げる。

そこで、気がついた。
それなりに今、充足感で満ちている。もちろんここにご飯を入れる余裕はあるが、別に食べなくてもこのまま明日のコーヒーまで我慢できるのではないか、と。
我慢できないのは、「お昼の後何も食べていない状態」であり、「夕食でサラダとおかずを食べた状態」ならば、ご飯を追加せずとも、過ごせるのだ。

そして翌日からは、夕食に一つのルールを設けた。
サラダ、おかず、味噌汁、そしてご飯を一斉に並べる。そしておかずとサラダと味噌汁を食べた後に、もしまだお腹が空いていればご飯に手をつける。
こうすれば、本当に食べたい時にはご飯が食べられるし、我慢すれば摂取カロリーを減らせる。

これは大成功だった。
「今日は食べないと絶対に無理」と思っている日も、少しサラダやおかずを食べ始めれば落ち着き、味噌汁を飲む頃には腹は満たされる。
毎日ご飯をよそっては炊飯器に戻して、翌日も繰り返していた。

ゴールについても、ひとつだけ設定することにした。1週間に一度、食べたいものを食べて良い日を設けた。この日だけはなんでも好きなものを食べて良い、自分へのご褒美日だ。

そしてすっかりその生活に慣れて行き、9月半ば、ダイエット開始から2ヶ月後には体重は80キロ。実に17キロのダイエットに成功していた。


普段食べているもの
ここで、当時食べていたサラダやおかずについて紹介。

・サラダ
基本的にはコンビニのもの。カロリー80-150程度のものがオススメ。ポテトサラダなどはNG。ツナとコーン程度のものだとカロリー低めで満足度が高い。
チョレギサラダ、ツナとコーンのサラダ、オクラのネバネバサラダ辺りをローテーションしていた。 

・おかず
定番のサラダチキン。180カロリーで満足度が高い。このダイエットでは自分が草食動物なのかと思ってしまうぐらい、サラダ以外を食べられない。だからこそ、おかず選びは重要となる。
プレーンなサラダチキンに飽きたらカレーなど味を変えてみたり、揚げ鶏にしてみるのもオススメ。とにかくここは200-300程度のカロリーのものからチョイスしよう。一日を乗り切れるかはここで決まる。

・スープ
スープはるさめは低カロリーで春雨まで味わえて一石二鳥。スープはとにかくお腹に溜まる。ワンタンなどが入ってるとカロリーが跳ね上がるので注意。
100以上のカロリーをここで摂取してはならない。
コーンポタージュなどはカロリーを見ておこう。
スープパスタは200カロリーを超えるので実はNG。これを食べるぐらいなら揚げ鶏を増やした方が満足度が高い。
スープはるさめ3種のローテーション+たまにコーンポタージュ、味噌汁が多かった。

・その他
上記のもので足りなくなったら、おでんかこんにゃく麺がおすすめ。
おでんについてはカロリーの低いこんにゃく、大根、白滝を選ぼう。玉子は一つまでなら許される。
こんにゃく麺も低カロリーで味がきちんとして物を食べている感じがしておすすめだが、臭みが合わない人もいるかも。一度コンビニで買って試してみるべし。
似たものとして豆腐そうめんがあるが、こちらはカロリーが明確に高いため、あまりオススメしない。味はかなり美味しいため、メインの揚げ鶏などを削って豆腐そうめんにするなどで工夫しよう。
その他、キムチや漬物、切り干し大根やたけのこなどもアクセントにグッド。ちょっとだけご褒美の昼食にしたいなら、低カロリーのツナ缶を追加で。

基本的にお昼ご飯は総カロリー500-600で調整している。

実際に当時食べていたランチを貼っておきます。

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間食について
やはりしたくなる間食。特に事務仕事の場合は口が寂しくなりがち。
とはいえこれがめちゃくちゃ太る。午前午後でチョコレート(DARSとか)を1箱ずつ食べるだけで480カロリーにもなるわけで。

俺ももちろん間食が大好きだったから、ここには大いに頭を悩ませた。
そこで、低カロリーかつ満足度の高いものをいくつかチョイス。

ぽたぽた焼
おばあちゃんの絵が可愛いあまじょっぱいアレ。
2枚入りで60カロリー程度となかなか低カロリーにして、満足度が高い。
というのもせんべいはしっかり噛む必要があるため、脳が食べていると認識してくれる。
午前午後の間食で二袋ずつ食べても240カロリー。

・ミルキー
個人的最オススメ。
なぜかというと、ダイエット中はとにかく甘いものが食べられない。甘いものはカロリーが高い。
ミルキーは一粒で20カロリー程度だが、めちゃくちゃ甘い。
ダイエット中は騙されたと思って舐めてみてほしい。自分がどれだけ甘いものを欲していたかわかるはず。
一日6粒舐めても120カロリー。低カロリー高満足。神の食べ物。

うまい棒
カロリー自体は80ぐらいあるが、満足度がそれなりに高い。
甘いものと同じくらい、ダイエット中はジャンクなものが食べたくなる。ポテチを一度食べると、「犯罪的だっ…!」となるはず。
うまい棒ならそのジャンク欲を満たせます。



このように、個包装のものなどを買うのがおすすめ。
ポテチを買ってちびちび食べるとか、ポッキーはおすすめしない。なぜかというと、我慢できずにすぐ食べ切っちゃうから。

間食はお腹が空いているというよりは、何か口に入れたいという時にするもの。お腹を満たすのが最終目標ではない。
せっかく自分が20カロリーで満足できる程度の間食欲なのに、ポッキーがあったから180カロリー摂取した、だともったいない。
「ポッキーをちょっと食べて満足すれば良い」と思うかもしれないけど、人間の心のブレーキは弱い。袋が空いていて、そこにポッキーがあれば、食べてしまうのがサガ。
心のブレーキをかけられないのなら、物理的にブレーキをかけよう。


80キロの停滞
そんなこんなで上記の食事をとりながら痩せたいき、順調に見えたダイエット。だが山場が早くも訪れる。80キロからとにかく減らない。

この頃はすっかり、三食で炭水化物を摂らない食事が浸透していて、一日の摂取カロリーは900から1000ほどだった。

にも関わらず痩せない。どういうことかまるでわからない。
このまま米とラーメンを我慢し続けるだけで良いのか?答えが出ないまま、1週間が経ち、体重はプラスマイナスゼロ。

「食べずに我慢できるのは痩せ続けていてそれがモチベーションになっているから」とさっき言ったが、それは裏を返せば、痩せられなくなったら食べるのを我慢できないということ。
これまでは何も考えずにサラダだけを食べていたはずが、一品増やしてみたいとか、おにぎりを追加したいなど、様々な欲求が出てくるようになってしまった。
実際にはどれも我慢できていたのだが、時間の問題だった。

だが、一度食べてしまえばこれまでの努力が無駄になる。以前のように食べ始めれば体重は瞬く間に戻るであろうことは、火を見るよりも明らかだった。

そこで、痩せるために別のアプローチを取ることにした。


停滞を打破するプール
というわけで、「体を動かして痩せよう」という、ある意味ダイエットの正攻法を、後追いすることとなった。

ジムでどんなものが効果的かを調べたり、人に聞いたりしたところ、最も良いのはプールとのことだった。

カロリー消費量の多さもさることながら、水であることから脚への負担などが小さく、運動不足な人が体を痛めずに行えるのがプールのようで、早速近所のジムのプールに通うことにした。
ちなみに1時間クロールし続けると500カロリー程度のカロリーを消費できるらしい。そう、たった1時間で。
こんなうまい話があっていいのだろうか?

…なかった。
いや、というよりは、俺には不可能だった。
最後に泳いだのは学生時代。1時間泳ぎ続けるなんて造作もなかったはずだが、20代後半の運動不足の成人男性にはキツ過ぎた。
食事制限による体力の衰えも大きかっただろう。
ちなみにどれぐらい体力がなかったかというと、25メートルで息絶え絶えで、往復している途中で心も体もバキバキに折れていた。

毎日プールに通っているらしい50代のおばちゃん達は平気で500メートルほど泳いでいて、少しの休憩を挟みながら、2時間は泳いでいたと思う。
ただそれをぼうっと見つめることしか俺にはできなかった。

本来なら、翌日からプールには通わなかっただろう。俺には向いていないんだ、と諦めていたはず。
だが、それができない事情があった。既に1ヶ月分のプール代金を支払っていたからだ。

プール通いをやめるにしてもまずは一ヶ月は通わなければ。そう思った俺は、泳ぐ体力がない人でもプールダイエットができる方法を探した。

そして見つけたのが、水中ウォーキングだ。


水中ウォーキング
その名の通り、プールで泳ぐのではなく歩く。これならば、俺でも続けられそうだと思った。
早速動画を見て勉強し、翌日に実践してみると、1時間歩き続けるのは疲れはするものの、不可能ではないことが明らかとなった。

水中ウォーキングにおいて気をつけるのは以下の点。

・ただ歩くのではなく、太ももをしっかりと揚げ、大股で一歩を踏む。
・足の動きと同じくらい、腕の動かし方も重要。
・1時間継続して行い続ける。

動きについては動画を見るのが良いだろう。いろんな歩き方をしてみた方が良いとあるが、俺は一種類の、最もスタンダードなものしか行わなかった。
参考にした動画:

youtu.be


水中ウォーキングをやってみるとすぐにわかるが、水の中で歩くというのは様々な筋肉を使う。凄まじい汗をかいているのも実感できて、クロールや平泳ぎでなくとも、プールでの運動は十分に可能だ。

もちろん、普通に泳ぐのに比べて地味なのは否めない。1時間ただ歩いているのは退屈だ。だからこそ、色々な歩き方で楽しみながら運動しようと動画でも言っていた。

この1時間は、音楽を聴きながらやるのがとても良かった。防水MP3プレイヤーが安価で売っているため、それを購入してずっと聴いていた。
プレイリストをちょうど1時間に設定して、1週間で切り替えなどを行うと、フレッシュな気持ちで水中ウォーキングができるはず。
30分とか45分とか、そろそろ終わる時間の時に流れる音楽が妙に愛おしくなる。その時の曲が流れると、今でも嬉しくなる。

ちなみに防水音楽プレイヤーを禁止しているプールもあるため、使おうと考えている人はプールのルールをきちんと見てからにしてほしい。


生活サイクル
これにより、1週間の生活サイクルは完全に決まった。
朝・完全無欠コーヒー
昼・サラダ、おかず
夜・サラダ
週に3-4回、1時間のプール

ここで肝心なのは、「プールを取り入れたからといって食べる量を増やしてはならない」という点だ。

プールのダイエット効果は高いとされながらも、なかなか痩せられない人も多いというが、その理由が「プールは運動量が多いため、その分お腹が空きやすく、食べてしまう」ことにあるらしい。

この点については正直どうしようもないのだが、強いていうなら、夜ご飯を食べる前にプールに行った方が良い。
プールに通った日は夜のサラダにおでん2種を追加するなど、ささやかなご褒美を入れると、プールに行くモチベーションにも繋がりやすいはず。


完全無欠コーヒー+プールによってゴールに
10月からジムに通い始め、1ヶ月で69キロに。そして12月に、ついにその時は訪れる。

念願の体重67キロを下回った。
ゴールに達した時は感極まってしまい、体重計の上で泣きそうになってしまった。

プールに通っていなかったら、おそらく俺の体重は今も79キロのままだったと思うし、もしかしたら自暴自棄になってリバウンドしていたかもしれない。
ダイエットにおいて摂取カロリーを抑えるのは重要だが、それだけでは痩せられないということを実感した。


ダイエットをしてみて
正直、痩せた実感については特になかった。体が軽くなったとも感じなかったし、体調が特別良くなったとも思わない。

だが間違いなく、ご飯を美味しく食べられるようになった。カロリーを気にするからこそ、食べられる機会の時には良い体験をしたくて、いつもより味わうように変わった。
以前は長時間歩くと足が痛くなっていたが、それもなくなった。寝起きの足のつりもなくなっていて、これまで足に大きな負担をかけていたのだということを改めて気が付かされた。
飛行機のような、狭い空間で同じ姿勢になるような場所も、痩せてからは過ごしやすくなった。
服のサイズがMやLになって、今までサイズで諦めていたものを着れて嬉しかった。

どれも今となっては当たり前のことだけど、痩せた実感を感じられる瞬間がたくさんあって、ダイエットをして良かったと日々思っている。


現在
2018年6月現在、体重は67キロ。65キロから67キロぐらいを行き来している状態で、リバウンドは一切していない。

食事はというと、カロリーについては一日2000キロカロリー前後という大雑把な制限はしているものの、食べたいものを食べている。二郎には行くし、食べ放題には通うし、家系ラーメンでご飯もつける。
上限はあるものの、好き勝手な食生活を送っていて、それでも体重は変わっていない。

ダイエットにおいて食事制限はすべきではないという言葉をよく聞くが、個人的には運動はした方が良いのはもちろんのこと、ある程度の食事制限はすべきだと考えている。

食事制限をすることでカロリーに対して意識を高く持てるようになり、不要な無駄食いや間食を避けられる。つぶあんマーガリンのコッペパンを間食で食べることの恐ろしさについて知るべきなのだ。

食事制限ダイエットも、その後きちんと節度を守って食事すれば、リバウンドするわけではない。


では、最後にダイエット方法のまとめ。


ダイエット方法まとめ
☆食事
朝・完全無欠コーヒー
昼・サラダ・おかずなど(総カロリー500)
夜・定食とご飯半分(総カロリー700)
週に3〜4回のプール

▼オススメサラダ
・オクラのネバネバサラダ
チョレギサラダ
・ツナとコーンのサラダ

▼オススメおかず
・サラダチキン
・揚げ鶏
・スープ春雨

▼オススメ間食
・ミルキー
ぽたぽた焼
うまい棒

☆オススメ運動
・水中ウォーキング(1時間・週3-4回)

☆ダイエットをする上で考えるべきこと
「食べることよりも体重計に乗って痩せているのを確認する方が快感」だと思うこと。
「今の空腹状態にご飯が本当に必要かどうか、おかずを食べ終わってから考える」


おわりに
俺の食事制限は少々過剰なのは否めない。最初からプールと併用してもう少し食べていても、同じ結果になったかもしれない。だから、俺の方法と全く同じ手段でダイエットをしてほしいとは考えていない。

どちらかと言えば、ダイエットにおけるメンタル面について、参考にしてほしい。

「食べることよりも体重計に乗って痩せているのを確認する方が快感」だということに気がつかなかったら、ダイエットは3日で終わっていただろう。
「ご飯が本当に必要かどうか、おかずを食べ終わってから考える」は、食事制限をする上で本当に重要だった。これがなければ、今でも腹八分目で満足することを覚えていなかったかもしれない。

この二つを念頭に置くだけでも、ダイエットがきっと変わるはず。 

ダイエットで最も重要なのは、実は食事制限でも運動でもなく、メンタル。メンタルを支配するものは肉体を支配する。

「運が悪かった」なら使ってもいい

時折、僕はSNS上でこんな言葉を目にします。
「このデッキは運の悪い自分には使えない」
「これは右手が強い人向けのデッキ」

これらの言葉が意味するところはつまり、「運が良くないとこのデッキで勝つことはできない」ということです。

「自分は運が悪い」と考えるのは、僕は悪いことだとは考えていません。不運な土地事故に見舞われたらストレスが溜まりますし、デッキに複数枚入っているキーカードが引けないことに煩わしさを感じるのは当然です。

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ただ、「運が悪い」と思い込むことで視野狭窄に陥ってしまうのだとしたら、それは悲しいことですし、間違いだと思います。

そんな感じの内容を、これから長々と書いていきます。
よろしければ、お付き合いください。


■「運が悪い」とは
カードゲームにおいて、運が悪いとは。
キーカードを引けない・低マナコストのカードを引けずにアクションが起こせない・後半に強力なカードを引き込めない。
その他にも、羅列しようものならばいくらでも思いつきますね。
そして「自分は上記のような状態に陥りやすい」と思っていると、「自分は運が悪い」と考えてしまうわけです。
自分の運が悪いと感じてしまうことは、誰にだってあるでしょう。26枚土地が入っていたにも関わらず2ターン目に止まったり、40枚のデッキに3枚入ってるカードが、デッキを半分引いても手札に1枚もない時など、カードゲームをたしなむ以上は全員が体験していると思います。
言わば「あるある」ですね。そして「運が悪かったなぁ」とへこむことでしょう。それは当然のことです。

ただ、「自分は運が悪い」ということを前提に何かを行おうとするのは、危険です。

その代表的な例は、「自分は運が悪いからこのデッキは使えない」と思うことです。


■「運が悪い」と思うことによる機会損失
自分のことを「運が悪い人間だ」と決めつけて、それを前提としてデッキ選択やデッキ構築を行うことは危険です。

例えば、中規模トーナメントの大会結果のリストを見ていて、6勝1敗の珍しいデッキを発見したとします。早速そのデッキをコピーして見る人も多いでしょう。
ただ、ここで「自分は運が悪い」と思っている人は、考えてしまいます。「このデッキは運が悪い自分に使えるのだろうか」と。そしてそのデッキを回す前から、諦めてしまいます。「自分にはどうせこのカードを引く運がない。だからこのデッキは使えない」と。
あるいは、少し回してみて上手く回らずに、すぐに諦めてしまいます。

これが、非常にもったいないことだと僕は考えています。

運の良し悪しは、その事が起きた瞬間にわかります。事前にわかりようがありません。
運は過去に起きた事象に対して以外では「存在しない概念」だと思っています。「運が悪くて負けた」「運が悪くてカードが引けなかった」。これらは全て過去に起きたことです。運は事が終わってようやく顔を出すのです。
このことについては、下でもう少し詳しく触れます。

さて、貴方はその珍しいデッキをコピーして回したとします。ですが4回ほどデッキを回して満足に動かなかったとしても、まだ投げ出すのは早いのです。
少なくともそのデッキは6勝1敗の成績を収めているので、最低でも12ゲームを取っているのです。それなら4度回しただけで結論付けるのは早いでしょう。

大事なのは、『「運が悪いから回せないだろう」と言う思い込みだけでそのデッキを諦めてしまわないこと』なのです。

コピーデッキを推奨しているのではありません。ただ、「自分の運が悪いから」という理由で使用を避けたり、安易な改造をすべきではないのです。土地が引けなかったら「運が悪い」ではなく「土地の枚数」を変えることを検討すべきなのです。
例えば4マナ目をどうしても4ターン目にほしいにもかかわらず、デッキに土地が21枚しか入っていないのなら、「運が悪い俺にはこの土地の枚数では足りない」と考えるのではなく、「このデッキでは4マナ目を4ターン目に確実に引きたいし、引けた時のリターンは、5枚目以降の土地を引き続けるデメリットを補える。だから土地を入れよう」と考えた方が良いのです。
一見、この2つは「デッキが回らないから土地を足す」という意味では同じ行為です。

ですがこれらはまるで異なる事象です。前者の場合、今度は5枚目以降の土地を引き続けて負けた場合に、「運が悪かった」と片付けるでしょう。ですが後者の考えならば、「5枚目以降の土地を引き続けるデメリットは予想以上に大きかった。だから土地の枚数を再度調整しよう」となるかもしれません。そしてこれは単なる一例に過ぎません。
このように「運が悪かった」の一言で片づけられるものには、その実「様々な要素」が隠されています。
目に見えない「運」を信じるあまり、事実として見えている「大会上位入賞」という結果をないがしろにしてしまい、そのせいで様々な要素に気づけない。これこそが、「運が悪い」と思うことによる機会損失です。


■取捨選択にも理由を
ここに、2つのデッキがあったとします。
一つはダントツのTier1。7回戦の大会で3回は当たるであろう、大本命デッキ。強いカードがたっぷりと入ったデッキです。
もう一つは、Tier3。14回戦って1回当たる程度のデッキです。こちらは非常に速いビートダウンで、デッキのほとんどが1マナです。それゆえにAOE(全体火力)を相手が持っていると負けてしまいますが、持っていなければTier1デッキであろうと容赦なくなぎ倒します。

この2つを比べた時に、どちらのデッキがより運を要求されるでしょうか?
それはもちろん、後者のTier3のデッキですよね。

Tier1のデッキには、そうなる理由がきちんとあります。多くのプレイヤーが勝つためにそのデッキを選択しているのですからね。かつてのTier1デッキだったティムール・エネルギーを例に挙げるのであれば、特定のカードに依存することなく、干渉手段と攻める手段の両方を持ち、相手次第でそのプランを自在に変更できるこのデッキは、確かに運の要素が少ないと言って良いでしょう。
一方、Tier3デッキは、相手がAOEを持っていなければ勝てる・持っていれば負けるという時点で賭けです。更に言うならば、序盤の手札事故で満足にカードが出せなければ、後半戦では不利になります。あらゆるリスクを抱えているデッキです。

もちろん前者のデッキの方が、運に頼らずに戦えると思います。これは紛れもない事実であり、「自分の運が良いか悪いかはさておき、使用した時の勝率が高いのはTier1のデッキだろう」と考えるのは自然です。
そしてこれ自体を僕は否定していません。
ただ、「Tier1デッキを取り、極端に尖ったデッキを捨てる」その理由を自分なりに明確にしておいた方が良いのです。これは「単に運の要素が高いから」ではなく、掘り下げるべきだと思います。
なぜそのデッキは運の要素が高いのか。その理由をしっかりと掘り下げましょう。相手のAOE1枚で必ず負けてしまうから?特定のカードに依存しているから?デッキのマナカーブが極端で、常に安定した動きができないから?強烈なキラーカードが環境にあるから?あるいは別の何か?

きちんと考察していくと、様々な事柄が見えてきます。もしかしたら極端に尖ったデッキの改良案が見つかるかもしれませんし、Tier1デッキの強さを改めて実感し、造詣も深まります。自分でデッキを構築するヒントにすらなりますね。

繰り返しますが、ここで言いたいのは「運が悪いから」という理由でデッキの取捨選択をしないことです。
「自分の運が悪いから」→「このデッキは運の要素が高いから」→「運の要素が高い理由は、1枚のキーカードに頼った構築であるから」と言ったように、きちんと「運が悪い」から踏み込んで考えていけば、明確な答えが出ます。
そして答えを出すことが自らの学びとなり、また発見に繋がります。
こうした機会を逸してしまわないために、「運が悪いから」で片付けるべきではないのです。


■「運」という言葉は悪いのか?
ここまでの話で、「運という言葉を使うことがそもそも悪なのでは」と思われてしまっているでしょう。誤解してほしくないのですが、少なくとも僕は、悪だとは考えていません。僕自身も「運が悪くて負けた」と言いますし、極端なドローをして敗北した際は、画像付きでツイートすることがあります。

負けてイライラしたら愚痴を言いたくなりますし、SNSに書き込めば慰めてもらえますから、どうしても書きたくなるというものです。
「常に運のせいにするなんて意識が低い」とも思いません。どれだけ考えようと運が悪いとしか言いようのないことはたくさんあります。「ゲームに真剣になるほどの情熱はないが、せっかく休日に遊びに来ているのに、満足にカードが使えずに負けたのは悲しい」と思う人がいるのも当然です。

カードゲームへの取り組み方は人それぞれです。勝ちたい人もいれば楽しみたい人もいますし、トーナメントでの勝利が目的ではない人にとっては、「負けたのは運のせいではなく実力だ!」などと責められるのは本意ではないでしょう。

だから、「運」と言う言葉が悪いと思っていません。今回の話は、「負けた理由を運のせいにするな!」という主旨ではないのです。

まだ起きていないことにまで「運が悪いから」と運を絡ませてしまうのは、機会損失と言う意味ではっきりとマイナスです。これは「勝ち負けよりマジックを楽しみたい」と思っている人にも共通する話だと思います。
「運が悪いからこのデッキは回さない」と決めたデッキが、実は自分の肌に合うデッキで、それで大会で優勝できるかもしれませんし、デッキを回すことで新たな発見をして、自分でデッキを閃いたり、チューンしたものがお気に入りとなる可能性があるのです。


■運という言葉は結果に対してのみ使おう
ここで一つ、説明をしておかなければならないことがあります。
僕は「運が悪いから」という理由でデッキ選択やカード選びの取捨選択を行うべきではないと言いました。運で片付けずに明確な理由を示すことが、自らの糧となるからだと。
その一方で、起きてしまった結果に対しては「運が悪かった」で終わらせてしまっても良いとも言っています。運の一言で完結させるべきではなく、きちんと理由を模索すれば糧となるのではないかと、そう思われる方が多いでしょう。
それは正しいです。自分では運だと思っていても、実はマリガンでミスを犯していたり、不利なリソース交換をしてしまったりなど、1ゲームでも様々なミスが起き得ます。
ですが、決定的に違うことがあります。「運が悪かった」から負けた場合、反省点があるかもしれませんが、本当に運が悪かった可能性もあるのです。

僕は、これから起きてしまうことに対して「運」という言葉を使うのと、終わってしまったことに使うのとでは、まるで違うと思っています。

これまで僕は何度か、「まだ起きていないことに運を絡ませてしまうのはマイナスだ」と言いました。その一番の理由は、「貴方の運が悪いかどうかは、実際のところまだわからないから」です。

ギャンブラーの誤謬という言葉があります。
コインの表裏を当てるゲームで、4回連続で「裏」が出ました。次は「表」と「裏」、どちらが出る確率が高いでしょうか?
ここで「表」と答えてしまう心理が、ギャンブラーの誤謬です。
実際の確率は50%です。コインは2面しかなく、ランダムでどちらかが選ばれるのであれば、その確率は50:50なのです。当たり前ですね。
合理的な根拠なく、主観やこれまでの経験で、確率論を大きく歪めた結論を出してしまうこと。これは危険です。

そしてまさに「これまで運が悪かったのだから次も運が悪いだろう」という心理は、ギャンブラーの誤謬です。

自分の運が悪いと発覚するのはいつでしょうか?それはデッキを回している瞬間、対戦中ですよね。その対戦が始まってドローするまでは、どんなカードを引くかはもちろんわかりません。だから「運が悪いかどうか」もわかりません。それなのに「自分は運が悪いからやめよう」と諦めてしまうのは、存在しない幽霊を怖がっているようなものなのです。
一方、27枚の土地をデッキに入れた時に、2枚しか引かなかった場合、これはもう「運が悪かった」と言えます。その上で反省点はあるかもしれませんが、事実として「運が悪かった」のです。学ぶべきことがあれば運のせいにせずに反省しても良いですし、そもそも事実として今この瞬間は運が悪いのですから、「運が悪かった」と言って良いでしょう。
ですが、その時に「自分は土地が引けない人間なんだ。次からは絶対にコピーするデッキに土地をプラス1枚入れよう」と思ってはいけないのです。何故なら「運が悪かった」という事実と「これから運が悪いか」については全く因果関係などないのですから。

貴方が本当に「運が悪い」かどうかは、その瞬間でないとわからないのです!


■おわりに
今回の話は、非常に誤解を生みやすい内容であると思います。
「運のせいにするな」という主旨ではないですし、「大会上位のデッキをリスペクトしてそのまま使え」と言いたいわけでもありません。
僕が言いたいのは、「運という言葉は物事の結果に対してのみ使おう」ということであり、その理由はバイアスのかかった行動により、機会損失をしてしまう可能性があるから」です。しかもそれは「運が悪かったからきっと次も運が悪いだろう」という思い込みから起きてしまうことなのです。
誰かを非難する話ではなく、ゲームをもっと楽しむための考え方の提案をしたつもりです。

この話で「自分が非難された!」「不快に感じた!」と思われた方がいるのならば、それは僕の文章力に問題があり、ただただ謝罪する他ありません。そんなつもりは毛頭ありませんし、僕の願いは、今よりももっとゲームを楽しんでもらうことです。

それでは今日はこんなところで。

【モダン】不朽の理想コンボ【デッキ紹介】

今の旬はやはりスタンダード!
プロツアーも今週末に控え、来週はRPTQと、今最もアツいのがスタンダードです。
早速ですが、今回は今主に使用しているスタンダードのデッキのお話…ではなく、モダンのデッキ紹介となります。


デッキリスト
4《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
4《溢れかえる岸辺/Flooded Strand》
1《乾燥台地/Arid Mesa》
4《金属海の沿岸/Seachrome Coast》
1《神聖なる泉/Hallowed Fountain》
1《聖なる鋳造所/Sacred Foundry》
1《蒸気孔/Steam Vents》
2《島/Island》
2《平地/Plains》
1《山/Mountain》
4《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》
4《不朽の理想/Enduring Ideal》
4《五元のプリズム/Pentad Prism》
4《手練/Sleight of Hand》
4《睡蓮の花/Lotus Bloom》
4《血清の幻視/Serum Visions》
3《差し戻し/Remand
3《突沸の器/Vessel of Volatility》
2《イゼットの魔除け/Izzet Charm》
2《ドラゴン変化/Form of the Dragon》
1《リッチの熟達/Lich's Mastery》
1《圧倒的輝き/Overwhelming Splendor》
1《神聖の力線/Leyline of Sanctity》
1《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》
1《鳩散らし/Dovescape》


サイド
4《防御の光網/Defense Grid》
3《炎渦竜巻/Firespout》
3《神聖の力線/Leyline of Sanctity》
3《稲妻/Lightning Bolt
2《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》



■デッキ解説
このデッキは、《不朽の理想/Enduring Ideal》をキャストすることで勝利を目指す、コンボデッキです。

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《不朽の理想/Enduring Ideal》は一度それを唱えると、以後永遠に呪文を唱えられなくなるという、とんでもないデメリットのカードですが、それゆえにド派手な効果を持っており、なんと毎ターンデッキからエンチャントをサーチできます。
《不朽の理想/Enduring Ideal》を唱える=勝利とするため、このデッキには様々な重いエンチャントが入っており、7マナのスペルを高速で唱えるべく、マナブーストも大量に入れています。

最終的には、《鳩散らし/Dovescape》・《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》・《圧倒的輝き/Overwhelming Splendor》・《ドラゴン変化/Form of the Dragon》を場に揃えることで勝利できます。

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とは言っても、どういった順番で出すべきなのか検討もつかないでしょうから、基本プランを書きます。

《不朽の理想/Enduring Ideal》を唱えた後の主な勝ちルートは、

【相手がビートダウンの場合】
1.《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》
2.《鳩散らし/Dovescape》
3.《圧倒的輝き/Overwhelming Splendor》
4.《ドラゴン変化/Form of the Dragon》

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【相手がコンボデッキの場合】
1、《鳩散らし/Dovescape》
2.《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》
3.《ドラゴン変化/Form of the Dragon》

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【相手がコントロールデッキの場合】
1.《鳩散らし/Dovescape》
2.《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》
3.《ドラゴン変化/Form of the Dragon》

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このようになっています。
基本的な考え方としては、相手の盤面にクロックがあって即座に負けそうな場合は《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》から。そうでない場合は安全面を考慮して《鳩散らし/Dovescape》からサーチします。
安全面というのは、「エンチャントを破壊される手段を未然に潰しておく」ということで、《鳩散らし/Dovescape》を唱えさえしてしまえば、他のエンチャントはまず割られることはなくなりますから、後は《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》でパワーを下げるなり、手札以上の生物を唱えてきそうな相手には《圧倒的輝き/Overwhelming Splendor》を出すだけで良いのです、。
《ドラゴン変化/Form of the Dragon》で5になったライフを《稲妻/Lightning Bolt》2枚で削られることもなくなりますね。


勿論上記については基本の考え方で、実戦では異なる場合も多いです。



■デッキの魅力
このデッキはスケープシフトと同じく、「クリーチャーを介することなく」「ただ1枚のカードを唱えるだけで勝利できる」コンボデッキです。

1.クリーチャーを介さないコンボデッキである
僕はストームを愛用していましたが、このデッキの嫌なところはクリーチャー除去が突き刺さるという部分です。《稲妻/Lightning Bolt》や《致命的な一押し/Fatal Push》のような軽量除去は相手の知らないゲーム1ではキープされやすい傾向にあり、そう言ったカードを無駄牌にできるのが、コンボデッキの強さだと僕は考えています。

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そのため、クリーチャーがコンボパーツになっているコンボは好きではないのです。

2.《不朽の理想/Enduring Ideal》1枚によるコンボデッキである
そして1枚コンボという点も重要です。
コンボデッキが苦手とする手札破壊。特に2枚コンボを使用していると、手札破壊の突き刺さり方は尋常ではありません。コンボの片割れを落とされてしまうと、もう一方は完全な無駄カードとなりますからね。その片割れの2枚目を引こうものならば、ドローがスキップされているようなものなのです。
2枚コンボを揃えるというのもそう簡単ではありません。《欠片の双子/Splinter Twin》コンボを思い出してください。

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そんなによくコンボは揃ったでしょうか。

《やっかい児/Pestermite》と《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》で殴り勝ったゲームも多くないでしょうか?もし双子コンボしか勝ち手段がなかったとしたら、禁止カードとして指定されていなかったでしょう。

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カード2枚によるコンボというものは、決めるのは容易なことではないのです。

ただ1枚のカードで勝つコンボは、それだけで使用に値するのです。

また、「1度《不朽の理想/Enduring Ideal》を唱えるだけで良い」というのも、見逃せないメリットです。

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ストームなどの「1ターンに呪文を何回もプレイするデッキ」は《減衰球/Damping Sphere》や《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》を苦手としていますが、《不朽の理想/Enduring Ideal》は、先にマナ加速を設置しておけば、これらのカードは気になりません。

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もちろん、マナアーティファクト自体は《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》で重くなってしまいますが。

とはいえ、一部のコンボに強いカードを無視できるのは強みと言えます。



■カード別解説
▼メインボード
☆4《不朽の理想/Enduring Ideal》

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このデッキのキーカードにして、1枚コンボを成し遂げる立役者。
本当なら6枚入れたいところですが、マジックのルールに従って4枚。《燃え立つ願い/Burning Wish》が使えれば7枚体制にできましたが、モダン環境にはソーサリーをサーチするカードはありません。
最初にこのデッキを作った時、「《ドラゴンの嵐/Dragonstorm》を昔は《ゴロゾス/Grozoth》でサーチしてたなぁ…7マナの変成ってなんだっけ?バウンスかな」なんて軽い気持ちでWikiを見ていたら、7マナの変成が存在しなくて絶望しました。

☆4《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》・4《五元のプリズム/Pentad Prism》・4《睡蓮の花/Lotus Bloom》

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それぞれ4枚採用しているマナブースト。どれも癖が特になく強いカードで、4枚から減らそうとは考えませんでした。
このデッキは《不朽の理想/Enduring Ideal》を4ターン目にキャストすることを目指しています。そのためには4ターン目に7マナが必要で、3マナのジャンプアップを果たさなければなりません。

☆3《突沸の器/Vessel of Volatility》

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追加のマナブーストとして採用しました。
《煮えたぎる歌/Seething Song》と比べると悲しくなる性能ですが、禁止カードと比べても仕方ありません。それにこのカードは、サイドボード後にアーティファクト破壊を食らわないマナブーストとしても優秀です。
《突沸の器/Vessel of Volatility》のおかげで、4ターン目に7マナを出すことは非常に安定しました。そしてそれが安定することは、やはりデッキの大きな強みとなりました。
このデッキには《不朽の理想/Enduring Ideal》以外にも重いカードが大量に入っていますが、中でも《ドラゴン変化/Form of the Dragon》は唱えただけで一部のデッキを機能不全に陥らせることのできるスーパーカードです。このデッキでは、そういったカードを素で唱えることができるのです!
そのため、マナブーストを大量に入れることのデメリットはほとんどありません。そこで上記3種と合わせて15枚のマナブーストの採用に踏み切りました。

☆4《血清の幻視/Serum Visions》・4《手練/Sleight of Hand》

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定番の1マナドロー。
《血清の幻視/Serum Visions》は確定として、《手練/Sleight of Hand》についてはかなり迷いました。

《不朽の理想/Enduring Ideal》に確実に辿り着くための《深遠の覗き見/Peer Through Depths》は、マナブーストを手札に加えられないことがネックとなり不採用。手札に引いてしまった重いエンチャントをデッキに戻せる《先読み/See Beyond》は、そもそも2マナも支払ってただ2ドローするだけなのが弱く、入れるとしても1~2枚と言った印象でした。  

《差し戻し/Remand》、《イゼットの魔除け/Izzet Charm》と構えるカードも複数枚あるため、最も軽い《手練/Sleight of Hand》を採用。

☆3《差し戻し/Remand》・2《イゼットの魔除け/Izzet Charm》

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カウンター兼ドロースペル枠。
《差し戻し/Remand》については、当初全て《イゼットの魔除け/Izzet Charm》にしていたものの、2ドロー・2ディスカードモードを常に行う余裕があるはずもなく、4ターン目を迎えるまでに相手の邪魔をしながら《不朽の理想/Enduring Ideal》に辿り着くカードがほしくて、枚数を散らすことにしました。
《イゼットの魔除け/Izzet Charm》は人間デッキがいるモダン環境では必須と言えるでしょう。このデッキはストームと違い、《スレイベンの守護者、サリア/Thalia, Guardian of Thraben》をあまり苦手としていませんが、一方で《翻弄する魔道士/Meddling Mage》はメインから対処しておきたいのです。

☆2《ドラゴン変化/Form of the Dragon》

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そしてここからは《不朽の理想/Enduring Ideal》でサーチするエンチャントたち。まずはフィニッシャーとなるこのカード。
飛行を持たないクリーチャーが攻撃できなくなるという能力がとにかく強力で、多くのフェアデッキを足止めできます。ライフがターン終了時に5になるので、《未練ある魂/Lingering Souls》で殴られてもターン終了時にはライフが5になります。
ただし、突然ライフが5になるので、《稲妻/Lightning Bolt》2枚で致死圏内に行くことを忘れずに。そのため、突然サーチすることはなく、安全を確保してからゆっくりと勝ちに行きます。
7マナである点、必要な赤マナが《突沸の器/Vessel of Volatility》でも捻出できる点、そして何より攻撃を封じるカードであることから、素出しすることが非常に多いです。

☆《鳩散らし/Dovescape》

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《不朽の理想/Enduring Ideal》コンボには欠かせません。
お互いのクリーチャー以外の呪文がすべて強制的に打ち消されるこのエンチャント。自分が次のターンに盤面のクリーチャーで負けないことが確定しているのであれば、まずサーチすべきです。ビートダウン相手にもライフに余裕があるのならばサーチして良いです。
《鳩散らし/Dovescape》を唱えると、相手はとにかく攻撃するしかなくなります。呪文を1/1飛行に変えてどんどん殴ってきます。そこで次のターンに《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》をサーチすれば、もう負けることはほとんどないでしょう。
《ドラゴン変化/Form of the Dragon》の上からでも《鳩散らし/Dovescape》のトークンが殴れることに注意しましょう。
《鳩散らし/Dovescape》+《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》は強力なコンボです。なのでまず盤面にはこれらを配置します。

☆《圧倒的輝き/Overwhelming Splendor》

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こちらは《鳩散らし/Dovescape》とは反対に、クリーチャーにロックを掛けるカード。《クァーサルの群れ魔道士/Qasali Pridemage》はもちろん、《原始のタイタン/Primeval Titan》から《引き裂かれし永劫、エムラクール/Emrakul, the Aeons Torn》まで、すべて1/1です。
白緑カンパニーのようなデッキには率先してサーチしたいです。次のターンに《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》で蓋をしてしまえば勝利となります。
《圧倒的輝き/Overwhelming Splendor》は、《鳩散らし/Dovescape》で封殺できないカードをすべて殺す、このデッキにとって完璧な1枚です。

☆《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》

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全体のクリーチャーのパワーを最大7まで下げることができます。
《鳩散らし/Dovescape》を出した後にまずサーチしたい1枚。というのも、《鳩散らし/Dovescape》のトークンが止まらなくて負けることがまあまああるので、ドローフェイズで引いてしまうと地獄なのです。なるべく早くサーチしましょう。
自分が殴られている状況ならば、まず《精神の檻、迷心/Meishin, the Mind Cage》からサーチしても良いと思います。特にメインボードでエンチャントが触られることはほとんどありませんからね。

☆《神聖の力線/Leyline of Sanctity》

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本体火力を封じたい時にサーチします。
バーンなどにはまずサーチしたい1枚ですね。《鳩散らし/Dovescape》をサーチした場合、ターン終了時に本体火力をトークンに変えられてしまい、攻撃を受けることがあります。なのでこちらをサーチする場合もままあります。

☆《リッチの熟達/Lich's Mastery》

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はい、そして最後に登場するのがドミナリアの新カード。そしてこのカードが、僕に《不朽の理想/Enduring Ideal》のアイディアを与えてくれました。
《リッチの熟達/Lich's Mastery》はどういった場面でサーチするのかというと、「こちらのライフが僅かで、相手には致死量のクロック。更に相手の手札に本体火力があるかもしれない」場合です。
簡単に説明しましょう。あなたのライフは4。場には4/5の《タルモゴイフ/Tarmogoyf》。相手の手札は2枚。仮に《ドラゴン変化/Form of the Dragon》を出せば、《タルモゴイフ/Tarmogoyf》は止まるかもしれませんが、《コラガンの命令/Kolaghan's Command》と《稲妻/Lightning Bolt》の合わせ技で敗北します。
この状況下で、《リッチの熟達/Lich's Mastery》は活躍します。まず置いておくだけで、次のターンのゲームの敗北はなくなります。場の土地は、《不朽の理想/Enduring Ideal》さえ唱えればもういらないですからね。墓地も手札も必要ないですから、返しで9点程度を食らったところで、《リッチの熟達/Lich's Mastery》を生贄にするには至らないでしょう。
そうすれば、次は《ドラゴン変化/Form of the Dragon》をサーチすれば良いのです。

上記以外でも、様々なシチュエーションで裏目を引く可能性は常にあります。その裏目を《リッチの熟達/Lich's Mastery》は消してくれます。とりあえずサーチしておけば延命手段になります。《鳩散らし/Dovescape》や《圧倒的輝き/Overwhelming Splendor》は、それぞれ1枚では完璧なカードではありません。クリーチャーかスペルのどちらかをケアしてもう一方で負けないようにするためのカードが、《リッチの熟達/Lich's Mastery》なのです。

ちなみに、《ドラゴン変化/Form of the Dragon》を2枚とも引いてしまった場合や、相手が《神聖の力線/Leyline of Sanctity》で《ドラゴン変化/Form of the Dragon》から身を守っている場合は、ライブラリーアウトでしか勝つことができないのですが、《リッチの熟達/Lich's Mastery》さえ貼っておけばこちらはライブラリーがなくなっても敗北しないので、後は待っているだけで勝利できます。



▼サイドボード
☆4《防御の光網/Defense Grid》

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とにかく打ち消し呪文が辛いので採用しています。
《すべてを護るもの、母聖樹/Boseiju, Who Shelters All》は、《廃墟の地/Field of Ruin》に対処されるのが我慢ならないので、こちらにしました。非常に良い働きを見せています。

☆3《炎渦竜巻/Firespout》

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人間クリーチャーがタフネス3になることが多いため。《カマキリの乗り手/Mantis Rider》を倒すためには《五元のプリズム/Pentad Prism》から緑マナを出す必要があります。どちらかというと、《サリアの副官/Thalia's Lieutenant》で強くなった《翻弄する魔道士/Meddling Mage》と《帆凧の掠め盗り/Kitesail Freebooter》を除去したいのです。
《神々の憤怒/Anger of the Gods》は赤赤の捻出が厳しいので見送りました。

☆3《神聖の力線/Leyline of Sanctity》

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ジャンドやバーンにサイドインします。
ストームに対しては入れた方が良いか微妙なラインです。というのも、《紅蓮術士の昇天/Pyromancer Ascension》と《パズルの欠片/Pieces of the Puzzle》にしている可能性が高く、フィニッシャーそのものにしか効かないのです。バウンスは間違いなく残っているので、ほとんど効かないと言って良いでしょう。

☆3《稲妻/Lightning Bolt

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こちらも主に人間ですが、ストームにもサイドインできます。

☆2《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》

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サイド後に少しだけ引き増しできるカードを入れたくて、採用しました。手札に来た不要なエンチャントを戻せるのが強いです。
とはいえ、このスペースについてはもう少し考えるべきです。個人的には《石のような静寂/Stony Silence》を割るカードは必要だと思うので、《摩耗+損耗/Wear+Tear》が良いかな、と思いました。


■おわりに
休日晴れる屋杯を上記リストで使用したところ、

赤青ドレッジヴァイン×〇〇
赤緑エルドラージ〇×〇
バーン×〇〇
ジェスカイコントロール〇〇
ストーム〇×〇
アミュレット〇×〇

と6-0で優勝。青いデッキからビートダウン、コンボまで一通りのデッキに勝つことができ、デッキのポテンシャルの高さを実感できました。

《不朽の理想/Enduring Ideal》を使ってみたいと思う方はぜひ、お試しください。

【スタンダード】白黒トークンと青白コントロール

今回はドミナリアが加入してからMOで使用してみて比較的感触の良かったデッキを紹介します。

ずばり、白黒トークンと青白コントロールでした。

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ひとまず新環境で良く当たるデッキは、初日は緑単アグロ、赤単だったので、それらに対して強いデッキが白だった、というわけですね。

まずは緑単や赤単に勝てなかった悲しきデッキたちを。



■散ったデッキたち

・《アンティキティー戦争/The Antiquities War》スペシャ

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《アンティキティー戦争/The Antiquities War》を2体の5/4に殴られ始めた頃に設置しても遅すぎました。0-5。


・《フレイアリーズの歌/Song of Freyalise》

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帰ってきた《謎の石の儀式/Cryptolith Rite》。好きなカードなので、使ったデッキもたくさん組んでみました。中でも《イトリモクの成長儀式/Growing Rites of Itlimoc》を入れて《カマールのドルイド的誓約/Kamahl's Druidic Vow》を唱えて《パラドックス装置/Paradox Engine》をめくって《不死身、スクイー/Squee, the Immortal》と《包囲攻撃の司令官/Siege-Gang Commander》で無限マナを決めてそのまま無限にスクイーを投げるデッキを思いついて天才かと思ったのですが、伝説のエンチャントでは伝説のソーサリーが唱えられないことにリーグの前の2構中に知り、あえなく解体となりました。
《カマールのドルイド的誓約/Kamahl's Druidic Vow》、誰か10チケぐらいにしてください。


シミック王神

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《ヤヴィマヤの化身、ムルタニ/Multani, Yavimaya's Avatar》を《王神の贈り物/God-Pharaoh's Gift》で釣るシミック王神。
とりあえず釣ると8/8確定で墓地が少し超えてると一瞬でライフを削れる。
そもそも王神と言うカードが強いので雑多なデッキにブン回って勝てたりもしたのですが、赤単と赤黒に3敗。



こうして、オリジナリティあふれるデッキたちは消えていきました。

というわけで、本題に。

 

■白黒トーク

4《秘密の中庭/Concealed Courtyard》
4《孤立した礼拝堂/Isolated Chapel》
4《進化する未開地/Evolving Wilds》
3《シェフェトの砂丘/Shefet Dunes》
4《平地/Plains》
4《沼/Swamp》
4《選定の司祭/Anointer Priest》
4《致命的な一押し/Fatal Push》
4《選定された行進/Anointed Procession》
4《秘密の備蓄品/Hidden Stockpile》
4《ベナリア史/History of Benalia》
4《改革派の地図/Renegade Map》
4《徹頭+徹尾/Start+Finish》
3《排斥/Cast Out》
2《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》
2《軍団の上陸/Legion's Landing》
2《燻蒸/Fumigate》


サイドボード
4《強迫/Duress》
3《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》
2《陽光鞭の勇者/Sunscourge Champion》
2《アルゲールの断血/Arguel's Blood Fast》
2《失われた遺産/Lost Legacy》
1《不敬の行進/Profane Procession》
1《イクサランの束縛/Ixalan's Binding》


▽雑感
《ベナリア史/History of Benalia》を予約した瞬間から組もうとしていたデッキ。

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《ベナリア史/History of Benalia》は最初に感じていた通りの強さと言った印象。3,4ターン目に連打できるため、これまでよりも白黒トークンが序盤からプレッシャーをかけられるようになりました。
赤単の《ゴブリンの鎖回し/Goblin Chainwhirler》で投了しなくて済むのも、《ベナリア史/History of Benalia》のおかげですね。
《ベナリア史/History of Benalia》が流行りの青白xコントロールに比較的強く、今週末使用する分には良いデッキかな、と思っています。

他の新カードとしては《ウルザの後継、カーン/Karn, Scion of Urza》でしょうか。

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4マナと比較的軽いながらも、ドローができて、トークンが出せると、白黒トークンに合った1枚です(《秘密の備蓄品/Hidden Stockpile》のトークンがアーティファクトなので結構パワーがばかにならない)

メインではトークンによる数で攻め、サイド後は《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》の個の強さを見せつけていきます。対策を怠ると一瞬でゲームを決める《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》、さすが悪斬。

ちなみに《燻蒸/Fumigate》をメインから入れていますが、緑単を強く意識しています。

 

■青白コントロール

4《灌漑農地/Irrigated Farmland》
4《氷河の城砦/Glacial Fortress
2《曲がりくねる川/Meandering River》
4《イプヌの細流/Ipnu Rivulet》
1《屍肉あさりの地/Scavenger Grounds》
1《廃墟の地/Field of Ruin》
3《島/Island》
7《平地/Plains》
2《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》
4《不許可/Disallow》
4《封じ込め/Seal Away》
4《天才の片鱗/Glimmer of Genius》
4《排斥/Cast Out》
3《中略/Syncopate》
3《残骸の漂着/Settle the Wreckage》
3《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》
2《アズカンタの探索/Search for Azcanta》
2《本質の散乱/Essence Scatter》
2《燻蒸/Fumigate》
1《副陽の接近/Approach of the Second Sun》


サイドボード
4《否認/Negate》
3《領事の権限/Authority of the Consuls》
2《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》
2《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty》
2《断片化/Fragmentize》
1《燻蒸/Fumigate》
1《威厳あるカラカル/Regal Caracal》


▽雑感
ごく普通の青白コントロール。赤単と緑単にとても強い。
ミラーマッチが増えることを想定してメインから《イプヌの細流/Ipnu Rivulet》を4枚にしてます。

青白コントロールはドミナリアでめちゃめちゃ強くなりました。
《封じ込め/Seal Away》は青白待望の1枚です。

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何と言っても《熱烈の神ハゾレト/Hazoret the Fervent》を僅か2マナで対処できるすさまじいカード。後述する《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》との相性も抜群です。今まで《不可解な終焉/Baffling End》を使っていたことから考えるとすさまじい。
現環境で、攻撃に参加してこない厄介なクリーチャーは《スカラベの神/The Scarab God》ぐらいです。


《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》もすさまじい強さの1枚。

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5マナと言う重さも、土地を2枚起こせる+能力があるため全く感じません。《封じ込め/Seal Away》と《本質の散乱/Essence Scatter》を構えられるのが強すぎます。
マナカーブ的にも、4ターン目を《残骸の漂着/Settle the Wreckage》、5ターン目《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》→《封じ込め/Seal Away》ときちんと噛み合っています。
とにかく奥義=勝ちな上に、プラスでカードを引けるので、《ヴラスカの侮辱/Vraska's Contempt》でも1対1交換になりません。連打するだけでいつかゲームに勝利できます。
スカラベの神/The Scarab God》の返しに出すカードとしても素晴らしい。マイナス能力から入ればいいですからね。
使っていてそのあまりの強さに感動して、すぐに3枚目を入れました。
《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》は《精神を刻む者、ジェイス/Jace, the Mind Sculptor》です!

サイド後は《否認/Negate》を入れられるので、こちらはクリーチャーをたくさん入れます。《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty》はほぼバニラの3/4飛行ですが、《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》が出るとお互いにめっちゃ強くなります。
《黎明をもたらす者ライラ/Lyra Dawnbringer》を入れるのはすぐに決まり、その次に最初は《威厳あるカラカル/Regal Caracal》を大量に入れていたのですが、あまりにも5マナが渋滞するため、《豊潤の声、シャライ/Shalai, Voice of Plenty》にしました。
呪禁が付くので地味に《残骸の漂着/Settle the Wreckage》効かなくなっていい感じです。


■終わりに

とにかく《ドミナリアの英雄、テフェリー/Teferi, Hero of Dominaria》が使っていて強かったです。
青白コントロールは、特にBMOでは緑単が多いと思われるので、選択理由になるのではないのでしょうか。(ちなみに青白は赤青王神に対してもとても強いデッキでした)

メインから《イプヌの細流/Ipnu Rivulet》を4枚入れているので僕のリストは比較的ミラーマッチも強い構成で、自信を持ってオススメできます。

僕がBMOにもし出られるのであればこのリストです。ぜひ使ってみてください。

ちなみに僕は当日、ニコニコ超会議のお仕事が入っているので見送ります。ニコニコ超会議にいらっしゃる方はぜひアナログブースに来てみてください。
津村さんとの対戦やアンシリーズを使ったリミテッドなどイベント盛り沢山です。僕は実況担当ですので、お越しの際はぜひ声をかけてみてください。

なぜ僕はローグデッキを使うのか

■イントロダクション

近頃、格闘ゲーム界隈で「強キャラを使うべき」というブログが話題になっていました。
僕自身は格闘ゲームは丸っきり門外漢なので、格闘ゲームにおいて「強キャラを絶対に使うべきなのか」ということについては特に意見を持ち合わせていません。
ただその最中、「この話がTCGにも通ずるものがある」という主旨の意見を多数目撃したので、自分の意見を言いたくて、最初はTwitterでつぶやきました。

ですが、いざつぶやいてみて、140文字以上に言いたいことがあったため、こうして書き記すことにしました。

カード名がほとんど出てこないマジックのお話ですが、どうか最後までお付き合いいただけたらと思います。

 

■ローグデッキとは

ハースストーンのヒーロー、ローグを使ったデッキでもなければ、もちろんならず者(Rouge)にフィーチャーしたデッキでもありません。
ローグデッキとは、いわゆる「メタ外デッキ」、「Tier1,Tier2以降のデッキ」のことです。

さて、ローグデッキは、弱いデッキなのでしょうか?
答えは「はい」であり、「いいえ」です。
大多数のプレイヤーが選択しないということは、それだけの理由があります。トーナメントで勝利するために必要なのは、「デッキパワー」「安定感」「柔軟さ」と様々ですが、その内のどれか、あるいはすべてを満たしていない可能性があります。
デッキが強ければ、誰もがそれを使いますよね。Caw-Bladeも、霊気池も、ティムールエネルギーも、多くのプレイヤーが勝利のために選択していました。
単純に使用者が少ないということは、勝つための何かが欠けている可能性が高いのです。

「いいえ」と言ったのにも、理由があります。
誰もそのローグデッキの強さに気が付いていないかもしれません。そのローグデッキは、潜在的にはTier1に駆け上がる力を秘めていながら、誰も試そうとしなかっただけなのかもしれないのです。
その場合には、トーナメントで活躍を続ければいずれはTier1の一角に上がり、ローグではなくきちんとした名称を与えられることになります。モダンの「ランタンコントロール」は、ローグからプロツアー優勝へとのし上がったシンデレラデッキと言えるでしょう。

 

■ローグデッキの魅力

・想定外
ローグは、対戦相手にとって想定外のデッキです。それゆえにミスを誘いやすいと言えます。
《泥濘の峡谷》と《水没した地下墓地》から《光袖会の収集者》が出てくればそのデッキはグリクシス・エネルギーでしょう。ともなれば、《ヴラスカの侮辱》を打つべきは《スカラベの神》だとわかるし、《致命的な一押し》を他のクリーチャーに温存することはないでしょう。

では、《泥濘の峡谷》と《水没した地下墓地》から《霊気装置の設計図》が出てきたらどうでしょうか?何に除去を当てればいいのか、もっと後のターンでは《暗記+記憶》を構えてターンを返すべきなのか、フルタップで《スカラベの神》を出しても良いのか、判断に困りますよね。

このように、相手の想定外のデッキを使うことで、正しいプレイを行わせづらくできます。



・デッキビルダーとしての喜び
また、ローグデッキを使って勝利を収めることは、メタデッキを使用した場合とは違う意味もあります。
誰も思いつかなかった全く新しいデッキを生み出し、それを世に送り出し、TwitterなどSNS上で話題になるということは、デッキビルダー冥利に尽きるというものです。
この快感に耽溺するデッキビルダーが後を絶えません。それぐらいの魅力です。

 

■なぜ僕はローグデッキを使うのか

ここでタイトルの話になります。
前提として、僕はローグデッキが好きです。グランプリでもよくローグデッキを使用しますし、日本語公式からの取材を受けたことも何度かあります。

mtg-jp.com

もちろん、取材を受けることはとても名誉であり、嬉しいです。
ですが僕は、取材を受けたいからローグデッキを使おう、と考えたことは今までただの一度もありません。
そして、新しいデッキを生み出す快感も、ほとんどありません(0といったら嘘になります)

僕がローグデッキを使うただ一つの絶対的な理由は、「ローグデッキを使用した方が勝てるから」に他なりません。
いわゆる強デッキを使用する人たちが「トーナメントで勝ちたいから」強いデッキを使っているのと全く同じ理由で、勝つために僕はローグデッキを使っています。

「ローグデッキを使う理由は、負けた時に言い訳にできるから」という意見も目にしましたが、僕個人の話をするなら、そんな考えは全くありません。
トーナメントに出場する以上、勝ちたいというのが僕の考えです。負ける言い訳なんてものは最初から存在しません。
あっさりと負けてしまうこともありますし、そうなればこのデッキのコンセプトがいまいちだったという結論に至ります。ですがそれは、「負けた理由をローグデッキのせいにしている」のではなく、「このデッキが勝てると思ってしまった自分が悪い」という自責によるものです。

負けて納得ができるはずがありません。負ければ悔しいです。

もう一度、はっきりと言います。僕は勝つためにローグデッキを持ち込んでいます。

 

■ローグデッキの方が勝てる理由

突然ですが、トーナメントマジックで勝つ方法とはなんでしょうか?

色々と必要なものはあると思いますが、まずは勿論、練習ですよね。そして何の練習をするかと言えば、その環境で最も強いデッキを練習するでしょう。
強いデッキについては、そのデッキコンセプト・サイドボード後のプランに至るまで、あらゆる対戦相手が研究しています。相手の用意に対して打ち勝つためには、幾度となく練習を繰り返し、最適なサイドボーディングとプランを見つけなければなりません。
少し前にスタンダードで頻発していたティムール・エネルギーのミラーマッチはまさにその極地と言えます。サイドボード後は《牙長獣の仔》がサイドアウトされましたが、あれは先手2ターン目に唱え、除去されなかった時にのみ強く、後手番・2ターン目以外で引いた時にすぐに死に札となってしまうからでした。
この結論は、練習することによって得られる成果です。
この一例については、記事を読めば同じことができますが、それだけで勝てるわけでもありません。貴方が記事を見ているということは、対戦相手も読んでいる可能性があります。だから《牙長獣の仔》を抜くことで相手を出し抜けるかどうかは定かではないのです。

結局、記事を読んだだけでは、ある程度熟練したプレイヤーとのミラーマッチにおいては運が大部分を占める勝負になります。そしてそれを乗り越えるためには練習が不可欠です。

つまり、
「その環境で最も強いデッキを使い、ミラーマッチを含めたあらゆるデッキと沢山マッチをこなし、適切なサイドボーディング・ゲームプランを知る」
これが、トーナメントマジックで勝つ方法と言えます。

閑話休題
そしてズバリ僕は、好みでないデッキを使用して練習に打ち込むことが恐ろしく苦手なのです。
好みでないデッキで練習をすることが苦手なため、どうしても試行回数を重ねるのが苦痛になります。プレイの習熟も遅く、冴えません。苦手な科目を勉強しているのと同じ状態だと考えてください。

一方、自分で一からデッキを作った場合は、状況は全く異なります。何せ自分が全部作るのですから、好みでないはずがありません。
見つけたローグデッキをいじっている時も同様です。ネットの海に沈んでいる数多のリストから興味を持ったものをピックアップしたわけですから、好きな要素が詰まっているに決まっています。
好きなデッキであれば、僕はいくらでも時間を使えますし、プレイの精度も上がります。数マッチで悪い点は見えてきますし、仮想敵に対してどういったプランを取れば勝てるか、などの考えも冴えます。結果的に、Tier1のデッキよりもローグデッキを持ち込んだ方が、高い勝率が出せるのです。

これを「逃げ」と言えばそうだと思います。Tier1デッキによるミラーマッチを研究することを諦めて、ローグデッキで勝とうとするのは、辛い練習から逃げているのと同義です。

それでも、「Tier1のデッキを練習すること」と「楽しいローグデッキを練習すること」のどちらの方がよりパフォーマンスを発揮できるかというと、僕は後者なのです。


これが、勝つためにローグデッキを選択する理由です。そして後者においてパフォーマンスを発揮できる理由であるメンタルについて、もう少し掘り下げます。

 

■マジックとメンタル

マジックで勝利するために必要な要素。
「練習」「デッキ(構築力・選択力)」「運」「プレイスキル」。他には一体何があるでしょうか。
僕はそこに「メンタル」が加わると考えています。そしてこのメンタルは、最重要と言っても過言ではないのです。(メンタルと一言で言ってもその内容は様々ですが、今回はモチベーションについて考えてみていただければと思います)

先程も言いましたが、僕は好みのデッキを使っている時に、モチベーションが上がります。マジックをプレイしている時間そのものが楽しいため、練習が苦痛になりません。練習中に沢山のことを、楽しみながら吸収できます。その結果、僕のローグデッキの練度は上がり、Tier1のデッキを使うよりも、勝率が高くなります

同じ練習時間をTier1のデッキに費やしたとしても、良い成果は出にくいのです。前述の通り、僕は「好みでないデッキを使用して練習に打ち込むことが恐ろしく苦手」だからです。

つまり僕にとって、楽しむという要素は、マジックで勝つための重要なファクターなのです。

Tier1デッキで練習をし続ける高いモチベーションを持っているトーナメントプレイヤーは強いです。そして勝つために、そのスタイルをプレイヤーが目指すこと、それは正しいと思います。

僕が言いたいのは、「Tier1デッキで練習をし続ける高いモチベーションを、トーナメントプレイヤーの誰もが持っている必要は決してない」ということです。

これは「人間には向き・不向きがある」程度に考えてください。「無理な人には無理」という、それだけの話です。
「Tier1デッキで練習をし続けるのが辛くモチベーションを維持できない」というのが、その人の努力が足りないとか、トーナメントマジックへのコミットが足りないとか、そういうことではないのです。ましてや、ローグデッキを使うことがトーナメントプレイヤーとして相応しくないだなんて、ありえません。

それを知らなかったかつての僕は、思うように勝てず苦しんでいました。その頃は、楽しいデッキを使うことが、自らのモチベーションを上げ、その結果、練習の精度が上がって勝率が上がるという結果に繋がるなど、まるで考えていなかったからです。だから環境で最も強いとされるデッキを使い、負け続け、マジックのモチベーションがどん底まで落ち込んでいた時期もありました。

Tier1デッキで練習をし続ける高いモチベーションがなくても、トーナメントで勝てる可能性はあるのです。楽しいデッキを回し続けられるということは、はっきりと力になります。
マジックにおけるメンタル面、とりわけ「楽しい」と感じる気持ちは軽んじられやすいですが、これは間違いだと思います。「楽しい」と感じることは、マジックの魅力であると同時に、勝つためのヒントでもあるのです。

「自分で作ったデッキの方がなぜか勝てる」という人の中には、「楽しさ」が練習やプレイの精度を上げている可能性が大いにあります。そういったプレイヤーがGPやRPTQなど大舞台にTier1デッキを持ち込み敗北してしまうのは、自らの性質を理解しきれていないからであり、僕はそれが非常にもったいないと感じています。

結局、自分にとって最も勝率の高い方法を選択することが重要であり、その判断材料として、メンタルは大きな役割を担っているということです。

 

■世のローグ好きに

今、こうして僕の文章を読んでいる人の中に、ローグデッキが好きなプレイヤーはたくさんいると思います。そしてその理由も、千差万別でしょう。
その中で、僕と同じように「勝利」のためにローグデッキを選んでいる人はいるはずです。
「勝利」と「ローグデッキ」を二律背反だと思い、悩んでいませんか?
「なぜ強デッキを使わないのか」という意見に、耳が痛くなっていませんか?

僕は今回の話で、そういったプレイヤーに自信を持ってもらいたいと思っています。
勝つために必要な要素は決して一つではないのです。「デッキのギミックが楽しい」というのも、立派な一つのデッキ選択理由です。
「楽しいと感じること」と「勝利を求める姿勢」を切り離す必要はありません。楽しさを求めることを、勝利に繋げましょう。

「楽しい」は十分にデッキ選択に値する根拠です。悩むことなく、これからも僕と一緒に、ローグライフを歩んでいきましょう。

【スタンダード】グリクシス・テゼレッター【デッキ紹介】

■はじめに

突然ですが、カードは予約販売で買う派ですか?
僕は買う派です。
ドミナリアではワクワクするカードがたくさんあったので、早速何種類か買いました。予約販売の何が良いって、やはり「将来的に高くなりそうな強いカードを比較的安価で購入できる」というところにあると思うんですよ。
《タルモゴイフ》を100円で手に入れ、それが1カ月後に1000円になっていたら嬉しいですよね。

さて、今回はそんな「予約販売」で真っ先に購入したものの、これまで一度も使うことがなかったカードが主役のデッキとなります。

 

■グリクシス・テゼレッター

まずはリストから。


4《水没した地下墓地》
3《竜髑髏の山頂》
4《泥濘の峡谷》
2《異臭の池》
4《産業の塔》
4《霊気拠点》
3《尖塔断の運河》
1《島》
1《沼》
4《異端の飛行機械職人》
4《艱苦の伝令》
3《ピア・ナラー》
4《ヴラスカの侮辱》
4《宝物の地図》
4《霊気装置の設計図》
3《策謀家テゼレット》
3《致命的な一押し》
3《金属の叱責》
2《削剥》


サイド
3《黄金の死》
2《失われた遺産》
2《橋上の戦い》
2《没収の曲杖》
1《ヴァンスの爆破砲》
1《チャンドラの敗北》
1《不滅の太陽》
1《原初の死、テジマク》
1《豪華の王、ゴンティ》
1《魔術遠眼鏡》

 

《艱苦の伝令》を1枚1000円、《策謀家テゼレット》を1枚1500円で買ったすべての皆様にこのデッキを捧げます。僕もその一人です。

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個々の解説に移る前に、このデッキが出来上がった経緯を軽くお話します。

 

■経緯

元々、GP京都前日にライングループで話していたのがきっかけでした。その時に、ジョニーのお店のスポンサードプレイヤーである高尾君が、「これ使う」と言って、リストを載せたのです。

ちなみにその当時のリストの原型となった青黒テゼレッターについては、高尾君がジョニーのお店で記事を執筆していますのでご覧ください。

デッキ紹介『青黒テゼレッター』 - ジョニーのお店 Magic the Gathering


モダン担当だった僕は特にそのリストを見はしても、それ以上の興味は特になく、ストレージから《策謀家テゼレット》を発掘することもありませんでした。

その気持ちが変わったのは、GP京都。本戦二日目にフラフラと歩いていたら高尾君を見つけたので、興味本位でデッキを回してみたのです。

するとこのデッキがとんでもなく面白いことが判明。そして何より《艱苦の伝令》を出すのがあまりにも気持ち良い

幸いにもここからのイベントはGPシンガポールとRPTQでどちらもフォーマットはスタンダード(RPTQはチームですが)。
ドミナリア加入前とはいえ、スタンダードを触ること自体は無意味ではないので、高尾君と調整をすることにしました。

高尾君はGPシアトルのための本命デッキの調整があるため、大部分は僕が触り、フィードバックを高尾君に投げる、といった感じです。
一緒に調整というと「会ってメタデッキを用いて対戦を行う」ことだと考えがちですが、お互いが個々にデッキを回してフィードバックを投げ合うという形式もあります。僕の場合は後者の方が好みです。(理由はいろいろとありますが、長くなるので今は掘り下げません)

ここからは更に余談ですが、高尾君とデッキを最後に調整したのは、GP東京のダークナヒリでした。
根本的に僕と高尾君では好きなデッキタイプが異なるため、あまり調整を共にすることはなかったのですが、今回のようにどちらかが相手のデッキに関心を示すと、いい結果になることが多いです。
というのも、デッキ構築論のおおまかな考え方が似通っている部分が多いのです。詳しく説明すると長くなりますが、例えば「フィニッシャーの枚数」「除去の枚数」などといった細かい枚数のフィーリングが合うのです。
逆に異なる点もあり、高尾君は「75枚の中に対抗策がないのを嫌う」傾向があって、それが僕のデッキ構築理論と全く異なるため、デッキの話をしていると、自然と楽しくなります。

デッキ構築論などについては機会があれば話すとして、そろそろ本題に。

 

■グリクシス・テゼレッター紹介

このグリクシス・テゼレッターは、大きく分けて2つの勝ちプランを持っています。

1・早いターンからトークンをばらまいてビートダウン。
2・除去と《宝物の地図》によるコントロール

攻守の要素を併せ持ったデッキです。
そしてこの好守2プランのどちらでも活躍するのが、《艱苦の伝令》・《策謀家テゼレット》の2枚というわけです。


☆ビートダウンプランの場合
2ターン目に《霊気装置の設計図》、3ターン目に《ピア・ナラー》か《異端の飛行機械職人》を唱えるだけで、もう4ターン目に《艱苦の伝令》は降臨します。

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《策謀家テゼレット》は戦場に出た2ターン後には大マイナスの奥義を使用できるため、大きなプレッシャーとなります。


☆コントロールプランの場合
除去を重ねていきながら、《宝物の地図》を変身させます。2ターン目に唱えてそこから毎ターン除去を打ちつつ占術を行うだけで、5ターン目には宝物を3つ生み出せるため、さばきながら《艱苦の伝令》を唱えつつ、更にこのデーモンが盤面をコントロールしてくれます。
《策謀家テゼレット》はそのマイナス能力を2回使った上で盤面に残るのが強力です。

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☆2つのプランを併せ持つのが魅力
と、このように60枚のデッキながら、まったく違った2つの動きが行えるのです。

ですが、逆にそれはデッキの動きがちぐはぐになるということでもあります。プランの異なるカードを同じデッキに詰め込んだら、喧嘩をしますからね(《ゴブリンの先達》と《神の怒り》が同じデッキに入らないのと同じように)

そしてその問題を、グリクシス・テゼレッターは解決していると言えます。

2ターン目に《宝物の地図》を唱えて手札に《ピア・ナラー》があったとしても、なんら困りません。《ピア・ナラー》は優れたブロッカーであり(こちらが先手なら《光袖会の収集者》も受け止められる)、《異端の飛行機械職人》も同様です。ビートダウンで有用なカードを引いていたとしても、《宝物の地図》を頼ってコントロールプランを取れます。
除去とクリーチャーだけがあったのなら、初速をさばいて後はビートダウンを完遂してしまえるでしょう。除去が効かないのは青黒コントロールぐらいですが、青黒はトークンを生成するクリーチャーを苦手としています。
そして前述のように、《艱苦の伝令》と《策謀家テゼレット》はビートダウン・コントロールのいずれのプランでも強力なカードです。

デッキに入っているほとんどのカードは、ビートダウン・コントロールの双方で役に立ち、それゆえに「全く異なる2プランを擁するデッキながら、引きムラが起きづらい」のです。 

これがこのデッキの最大の魅力にして、対戦相手を困らせる要因です。
対ビートダウン用の《黄金の死》を入れられたら、それを嘲笑うかのように除去と《宝物の地図》でコントロールしてしまうこともありますし、《否認》と《アルゲールの断血》で対コントロールの動きをしてきた相手にクリーチャーを連打して勝利できるのです。

ちょっとグリクシス・テゼレッターが魅力的に見えてきませんか?


■個々のカード解説

▽メインボード
・《艱苦の伝令》

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このデッキの主役です。
最速4ターン目に着地し、手札を奪いながら、除去がなければそのままゲームを決めうパワーがあります
アーティファクトが2枚あれば《熱烈の神ハゾレト》も除去できますし、対ビートダウン性能もばっちり。
飛行機械によるチャンプブロックも-2/-2能力で許しません。
重ね引きした時の強さも尋常ではなく、連打した際の絶望っぷりは《悪斬の天使》によく似ています。



・《異端の飛行機械職人》、《ピア・ナラー》

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デッキを支えるナイスガイズたち。
単体除去が強い環境なので、一度に複数のパーマネントが並べられるカードは強力です。
どちらも生み出せるのが飛行機械トークンであることから、即席の手助けもしてくれます。
特に《異端の飛行機械職人》は次のターンに確実に《艱苦の伝令》を出せるようになるため、このリレーが多いです。
《策謀家テゼレット》も守りやすく、攻守に優れたカード達です。



・《宝物の地図》

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このデッキの隠れた主役。
単純にカードパワーが高いのですが、生み出す宝物3つを即席に使えるこのデッキでは特に輝きます。
《宝物の地図》変身→《異端の飛行機械職人》+もう1アクションか、変身→《艱苦の伝令》の展開が強力。
《策謀家テゼレット》の除去モードのアーティファクトカウントの助けにもなります。
即席の助けからアドバンテージまで何でもこなせるナイス地図。



・《霊気装置の設計図》

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このデッキで唯一、カードパワーが少し劣っています。ただ単体で即席2つ分の助けになる点、《ピア・ナラー》というバックアップカードがあることから、採用しています。
2ターン目に《霊気装置の設計図》さえ置けば、《異端の飛行機械職人》と《艱苦の伝令》を唱えるのは容易となるので、とりあえず2ターン目に唱えておきたいカードです。
《ピア・ナラー》の能力で生贄にすればトークンを出せるので、お忘れなく。


・《策謀家テゼレット》

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見た目よりずっと強い1枚。
というのも、このカードはとにかく奥義までが早い。出した2ターン後には奥義できるため、即座に対処を迫れます。
このデッキでは《ヴラスカの侮辱》の対象が《艱苦の伝令》と《策謀家テゼレット》で7枚あります。これらのカードを叩きつけ続け、相手の《ヴラスカの侮辱》が尽きれば勝利です。
《艱苦の伝令》から出して手札を捨てさせることが多いので、大体は《策謀家テゼレット》が残ります。

ひとたび奥義を使えば、そのゲームは速やかに決着がつきます。青黒系に最も勝ちやすいのが《策謀家テゼレット》です。

また、除去を2回使用しても場に残る点も魅力。《スカラベの神》を倒し続けてその間に《ピア・ナラー》と飛行機械トークンたちが殴り切ることも。

重ね引いた時や、即席で軽くなることのない4マナのカードであることを考慮して3枚となっています。



・《ヴラスカの侮辱》、《致命的な一押し》、《削剥》

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定番。《ヴラスカの侮辱》は説明不要の《スカラベの神》・《再燃するフェニックス》対策。
《致命的な一押し》は《光袖会の収集者》と赤緑モンスターの永遠クリーチャーを倒すのに重宝します。
《削剥》は王神も見れる除去ですね。



・《金属の叱責》

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このデッキでは《マナ漏出》以上になることもしばしば。
スタンダードではとにかく行動回数が大事です。相手の5マナのカード(《スカラベの神》)を4マナ(《ヴラスカの侮辱》)で対処してしまっては、こちらは脅威を展開できませんが、1マナで対処してしまえば、今度は逆に自分が相手に脅威を押し付けられますよね。
この《金属の叱責》はそんな、攻守を入れ替えるカードです。

後半に引き続けると弱いことから3枚としていますが、非常に強いカードです。


▽サイドボード
・《黄金の死》

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赤単や白赤トークンのような横並びデッキにサイドインします。
このデッキは都市の承認を比較的容易に達成できるため、相手だけ-2/-2となります。



・《橋上の戦い》

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赤単用の1枚です。《熱烈の神ハゾレト》が除去出来て素敵です。
このカードの枚数を増やせば増やすほど赤単には強くなるので、赤単が増えたら3枚目を検討してもいいと思います。


・《失われた遺産》

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このデッキが苦手とするのは、ビートダウンとコントロールの2プランの内、片方が完全に効かない相手です。例えばコントロールプランが全く効かない副陽デッキです。
そのため、《失われた遺産》を2枚採用しています。
基本的には《致命的な一押し》と《ヴラスカの侮辱》から抜いていくのですが、白単副陽はサイド後にクリーチャーを大量に積んでくることがあるのを念頭に置いておきましょう。まず《威厳あるカラカル》と《アダントの先兵》は入ってくるので、《致命的な一押し》を抜いて《黄金の死》を入れることが多いです。
白黒副陽の場合は《首謀者の収得》でサイドボードに逃がした《副陽の接近》にアクセスできるため、クリーチャーは入れてきません。なので全力で除去は抜きましょう。
ただし、《削剥》はどの副陽相手にも抜かないようにしましょう。《宝物の地図》を割りたいためです。



・《没収の曲杖》

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青白王神用です。なんだかんだこのカードが1番です。



・《ヴァンスの爆破砲》

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青黒系デッキおよびコントロール全般に。
青黒系などに対してこちらは、飛行機械で殴れることを生かして、ビートダウンプランを取ることが多いです。
そのため、サイドボードには比較的前向きなカードを多く採用しています。
即席スペルを合わせると比較的変身条件も満たしやすく、それも魅力です。



・《チャンドラの敗北》

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赤単兼《栄光をもたらすもの》が入ったデッキ用です。《栄光をもたらすもの》を気兼ねなく除去できるカードがほしいので、2枚目もほしいと思っています。



・《不滅の太陽》

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青黒系デッキおよびコントロール全般に入れる1枚です。
飛行機械たちが強くなるのでかなり良いカードです。《アルゲールの断血》よりも重いですが、お互いにカードを引きあう展開より、こちらはライフを詰めたいため、こういったカードをチョイスしています。



・《原初の死、テジマク》

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《逆毛ハイドラ》を除去したいので入ってます。《バントゥ最後の算段》と枠を争いましたが、早いターンに打ちたいわけではないのでこっちに。


・《豪華の王、ゴンティ》

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青黒系デッキおよびコントロール全般に入れます。
やはりバリューカードでありながらクリーチャーであるという点を重視しています。とにかく殴りたいのです。



・《魔術遠眼鏡》

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主に青黒系です。
1枚で《スカラベの神》に耐性が付くため、後ろ向きなカードではありますが特別採用です。
《アルゲールの断血》も指定でき、便利なカードです。

 

■マリガンについて

低マナ域のカードは基本的にキープ基準となります。
《霊気装置の設計図》、《宝物の地図》があればほとんどはキープしてしまいますし、《ピア・ナラー》も先手ならばキープに値します。

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除去だけの手札ではちょっと始めづらいです。土地3、《致命的な一押し》、《削剥》《ヴラスカの侮辱》、《ヴラスカの侮辱》ぐらいであればキープできますが、ギリギリです。というかよく負けます。

《異端の飛行機械職人》と《艱苦の伝令》は手札にアーティファクトがあるかどうかで大きく異なります。
が、《異端の飛行機械職人》は4ターン目に出せそうならば(つまり手札にアーティファクトが1枚ならば)キープしてしまいます。
《艱苦の伝令》は、《異端の飛行機械職人》を4ターン目に出せる手札であれば、キープします。5ターン目に出せる公算がありますからね。

 

■おわりに

今回はデッキ紹介なので、細かいサイドボーディングやTIPSなどはありません。今のスタンダードを語れるほどにはやり込めていないのです。なので今回はこのような軽い内容で終わりとなります。
とにかくこのデッキは回していて、まるで60枚デッキではないような多彩な動きが出来て楽しいので、その魅力が伝われば嬉しいです。
ドミナリア発売まで後少しのスタンダード環境末期。手に取るデッキに困っている人や、発売直後に《艱苦の伝令》と《策謀家テゼレット》を買って持て余していた人は、ぜひ使ってみてください。