ゆうやんのアトランタ路地裏ブログ

Magic: The Gatheringの大会参加レポやデッキガイドなど

敗北の原因を振り返る

こんにちは。
プラハから始まった好調が幸いなことにミシックチャンピオンシップまで続いたおかげで、今サイクルをシルバーレベルとして迎えることが出来ました。
そんな僕が今日綴るのは、好調の秘訣でもミシックチャンピオンシップの勝ち方…ではなく(というかそんなものがあったら知りたい)。
 
グランプリのアベレージが落ちていることと、その原因についてです。

この事実は薄々感じ始めていましたが、はっきりと意識したのは昨日のことでした。それは自分のプロポイント獲得表を見ていて、この直近2サイクルで2イベントでしかプロポイントを取れなかったという事実を目の当たりにした時でした。
その内1イベントはミシックチャンピオンシップです。そしてもう一つはGP名古屋。名古屋のフォーマットはチームリミテッドです。
つまり、僕は構築グランプリにおいて、昨年の香港以来、一度もプロポイントを稼いでいないのです。それどころか、二日目にも進出出来ていません。

実は僕は、構築グランプリでは4敗が最も多い成績です。初めてのグランプリだったGP静岡2008で4敗マネーフィニッシュを終えたのを皮切りに、年に2回は4敗程度で終え、初日落ち自体はほとんどありませんでした。構築グランプリ2連続初日落ちなんて、初めてかもしれません。マジック自体の調子は比較的良いにもかかわらずです。
だからこそ、その原因を明確にするために、こうして書き連ねることとしました。

まずはドミナリアサイクルから今回までのグランプリ・ミシックチャンピオンシップの成績を時系列順に振り返ります。

 

 

■成績振り返り

・GPシンガポール(スタンダード)

成績:10-4-1
デッキ:青白コントロール

《熱烈の神ハゾレト》の全盛期だったGPシンガポール。使用したのは青白コントロールでした。
赤いデッキやビートダウン全般に強かった青白コントロールは、青白タッチ黒のエスパーコントロールと共に、環境に君臨していました。
僕のリストで特徴的だったのはサイドボードの《空中対応員》。ミラーマッチなどで出される《ベナリア史》を完璧に受け止めるだけでなく、赤単に対しても強力でした。
余談ですが、僕のリストを使用して小林 タツウミ君がRPTQを抜けてくれていたそうです。


・GPプラハ(モダン)

成績:13-2
使用デッキ:白緑ドルイドコンボ

5色人間全盛期にして、スピリットが活躍し始めたモダン環境。そして青白コントロールが世に放たれた瞬間でもあったGPプラハ
僕が使用したのは、日本で人気の兆しを見せていたものの、ヨーロッパのプレイヤーはほとんど知らなかった《献身のドルイド》+《療治の侍臣》コンボでした。
旧モダン神である小田さんが使用して挑戦者決定戦を勝ち抜き、それを見た行弘君がリストに惚れこんで調整をし、2度のグランプリで好成績だったという白緑ドルイド。僕はその行弘君の言葉を信じて、調整をしていました。
その甲斐あって13-2の好成績でした。


・GP香港(モダン)

成績:11-4
使用デッキ:青白コントロール

プラハから2週間後のGP香港。白緑ドルイドではなく、青白コントロールを使用しました。
白緑ドルイドが最も苦手とする青白コントロール。このデッキをプロたちが持ち込んだのが、まさにGPプラハでした。プラハでは一度当たり、その時はギリギリの戦いを制したのですが、二度と対戦したくないと思うほどだったのです。
そしてその青白コントロールの感触が良かったため、香港に持ち込むことにしました。
ミラーマッチ用の《光輝王の昇天》と、《血清の幻視》を4枚にした点が特徴でした。


・GP名古屋(チームリミテッド)

割愛します。練習と本番を含め、ただただ三原さんが神だったためです。僕の力ではありません。


・GPポートランド(モダン)

成績:3-3
使用デッキ:ジェスカイ・コントロール

12月に行われたアメリカでのモダンGP。バントスピリットと5色人間がトップメタとなり、その下にKCIなどがいました。
そこで僕は、上位のデッキに相性が良く、更にGPで多くのプレイヤーが選択するであろうバーンに対しても強い、ジェスカイ・コントロールを選択しました。
ジェスカイ・コントロールはとても使用者が少なく、ハビエル・ドミンゲスぐらいしかGPで成績を残していませんでした。
結果は、2bye明け3-0からの3連敗で初日落ち。バーン、スピリットに負けました。


・ミシックチャンピオンシップクリーブランド(スタンダード)

成績:11-4-1
使用デッキ:シミックネクサス

バントネクサスを使用するつもりでしたが、直前のGPでの武蔵型シミックネクサスに惚れ込み、使用。
本戦では苦手なデッキを避け続ける幸運により、好成績。


・GP京都(スタンダード)

成績:3-3
使用デッキ:スゥルタイ・コントロール

ほぼ完全にオリジナルデッキとなったスゥルタイ・コントロール。グランプリに完全なオリジナルデッキを持ち込んだのは、青赤ドレッジ以来かなと思います。
アグロからシミックネクサス、エスパーまで全方位を見られる構成にし、更にデッキを実質青黒タッチ緑とすることで色マナ事故をケアしたのですが、本戦の結果は振るわず。

 

 

■敗北の原因

こうして書きだしてみると、ポートランド・京都での敗因は明らかですね。そう、僕がオリジナルデッキを持ち込んだからです。
シンガポールで使用した青白コントロールは、一般的なリストとさほど変わりありません。《排斥》が4枚だったり、細部のこだわりはありますが、《空中対応員》以外に珍しいカードは入っていません。
プラハの白緑ドルイドは、小田さん謹製のデッキで、僕はそのリストに独自の調整を加えたに過ぎません。行弘君の力も大いにありました。
シミックネクサスはメインサイド含めてほぼ完コピですし、香港の青白コントロールも細かいドロースペルの選択以外は既存のデッキです。

僕が初日落ちした2つのグランプリは、どちらもオリジナルデッキを使用した時なのです。

これははっきりと、僕のデッキ構築能力の無さが表れていると言って良いでしょう。
と同時に、GPプラハの好成績をきっかけに「自分はオリジナルデッキを持ち込んで勝てるレベルのプレイヤーになった」という勘違いをしてしまった。
この2つが、敗北の原因です。

GPプラハの13勝2敗は、僕のマジック人生で間違いなく最高に素晴らしいことの一つでした。白緑ドルイドは海外では珍しかったのか、ツイッターで外国人から「サイドインアウトを教えてほしい」というDMが何回か来ましたし、外国人のフォロワーも増えました。
そして僕の書いたサイドインアウトの記事に「参考になった」とたくさんの方が言ってくれて、ありがたいことに最近でも僕の記事をきっかけに白緑ドルイドを作り始めた人が声をかけてくれました。
しかし、それは「デッキビルダーとしてのゆうやん」を褒め称えたものではありません。何故なら白緑ドルイドは僕が作ったデッキではないからです。デッキを回していく内に弱点や苦手な相手を知り、的確なサイドプランやキラーカードを搭載したに過ぎないのです。
シミックネクサスの記事はありがたいことにBIG MAGICさんに寄稿することとなりました。グランプリ京都で使用する予定のプレイヤーの方に「詳しく教えてください」と声を掛けられましたし、本戦でも「記事拝見しました」と言ってもらいました。ですがあのデッキは、ご存じ武蔵の市川さんと原根さんの作成したデッキです。

結局、デッキビルダーとしての僕は何も成し遂げていませんし、何の成績もあげられていないのです。
にも関わらず、直近の構築イベントでの成績が良かったことで鼻を高くした僕は、オリジナルデッキを持ち込んで惨敗しました。当然のことです。僕が良い成績を上げたデッキたちは、僕の及んでいる力は精々5%程度。他人の力を借りて勝てたに等しいのです。
これまでであれば、僕はどこかで勘違いにすぐに気が付くことが出来ました。成績が振るわない時ほど、人は自分を見つめなおすものです。ですが調子の良さゆえに、僕は「自分が間違っている」「構築能力が劣っている」などと、全く考えもしませんでした。

端的に言って、僕は「勘違いして、驕っていた」のでしょう。「デッキを世に生み出して行く側のプロプレイヤー」にでもなった気でいたのです。お恥ずかしいことに、最近の調子の良さが自分を盲目にしていました。

それは認めたくない事実でした。プラハをきっかけにプレイヤーとして一皮剥けて、一段階上のデッキビルダーになったと思い込むことは、さぞ気分が良かったからです。記事について褒めてもらい、ビルダーとして色々なプレイヤーから認識してもらい始めたという事実も、僕の目を曇らせていました。
今回のグランプリ京都で使用した「スゥルタイ・コンシード」は、調整段階において成績は決して悪くありませんでした。本戦では不運な事故が重なりましたし、歯車が少し違えば初日を1敗で終えることも可能だったでしょう。
ですが、そうはなりませんでした。そしてそれがすべてなのです。僕はまたしても、オリジナルデッキを使って勝てなかった。今の実力のすべてです。

僕には卓越したデッキビルド能力も、グランプリの上位8名に残りうる力もない。ただの一プレイヤーでしかない。
この当たり前の事実を、改めて自覚する必要があると感じました。

 

 

■今後

ミシックチャンピオンシップで好成績を上げ、シルバーレベルに到達し、バルセロナまでの2回分のプロツアーの権利を獲得と、今波が来ているのは確かです。
でもだからこそ、自分の実力をしっかりと見つめ直し、それに適した練習をしたいと思います。
ミシックチャンピオンシップの舞台は最高でした。またあそこでプレイできるということは光栄であり、今度はスポットライトを浴びたいという欲も出てきました。そのたけには、あの場に相応しいプレイヤーになれるよう、努力していく必要があります。
今の自分は、まだライトを受けるには不相応な実力です。今回のGP京都の惨敗でははっきりとそれを知ることが出来ました。

次のイベントはGP横浜、そしてミシックチャンピオンシップ(ロンドン)。モダン2連戦、頑張ります。暖かい応援をよろしくお願いいたします。