ゆうやんのアトランタ路地裏ブログ

Magic: The Gatheringの大会参加レポやデッキガイドなど

【スタンダード】グリクシス・テゼレッター【デッキ紹介】

■はじめに

突然ですが、カードは予約販売で買う派ですか?
僕は買う派です。
ドミナリアではワクワクするカードがたくさんあったので、早速何種類か買いました。予約販売の何が良いって、やはり「将来的に高くなりそうな強いカードを比較的安価で購入できる」というところにあると思うんですよ。
《タルモゴイフ》を100円で手に入れ、それが1カ月後に1000円になっていたら嬉しいですよね。

さて、今回はそんな「予約販売」で真っ先に購入したものの、これまで一度も使うことがなかったカードが主役のデッキとなります。

 

■グリクシス・テゼレッター

まずはリストから。


4《水没した地下墓地》
3《竜髑髏の山頂》
4《泥濘の峡谷》
2《異臭の池》
4《産業の塔》
4《霊気拠点》
3《尖塔断の運河》
1《島》
1《沼》
4《異端の飛行機械職人》
4《艱苦の伝令》
3《ピア・ナラー》
4《ヴラスカの侮辱》
4《宝物の地図》
4《霊気装置の設計図》
3《策謀家テゼレット》
3《致命的な一押し》
3《金属の叱責》
2《削剥》


サイド
3《黄金の死》
2《失われた遺産》
2《橋上の戦い》
2《没収の曲杖》
1《ヴァンスの爆破砲》
1《チャンドラの敗北》
1《不滅の太陽》
1《原初の死、テジマク》
1《豪華の王、ゴンティ》
1《魔術遠眼鏡》

 

《艱苦の伝令》を1枚1000円、《策謀家テゼレット》を1枚1500円で買ったすべての皆様にこのデッキを捧げます。僕もその一人です。

f:id:yuyanmtg:20180409143811j:plain
f:id:yuyanmtg:20180409143839j:plain


個々の解説に移る前に、このデッキが出来上がった経緯を軽くお話します。

 

■経緯

元々、GP京都前日にライングループで話していたのがきっかけでした。その時に、ジョニーのお店のスポンサードプレイヤーである高尾君が、「これ使う」と言って、リストを載せたのです。

ちなみにその当時のリストの原型となった青黒テゼレッターについては、高尾君がジョニーのお店で記事を執筆していますのでご覧ください。

デッキ紹介『青黒テゼレッター』 - ジョニーのお店 Magic the Gathering


モダン担当だった僕は特にそのリストを見はしても、それ以上の興味は特になく、ストレージから《策謀家テゼレット》を発掘することもありませんでした。

その気持ちが変わったのは、GP京都。本戦二日目にフラフラと歩いていたら高尾君を見つけたので、興味本位でデッキを回してみたのです。

するとこのデッキがとんでもなく面白いことが判明。そして何より《艱苦の伝令》を出すのがあまりにも気持ち良い

幸いにもここからのイベントはGPシンガポールとRPTQでどちらもフォーマットはスタンダード(RPTQはチームですが)。
ドミナリア加入前とはいえ、スタンダードを触ること自体は無意味ではないので、高尾君と調整をすることにしました。

高尾君はGPシアトルのための本命デッキの調整があるため、大部分は僕が触り、フィードバックを高尾君に投げる、といった感じです。
一緒に調整というと「会ってメタデッキを用いて対戦を行う」ことだと考えがちですが、お互いが個々にデッキを回してフィードバックを投げ合うという形式もあります。僕の場合は後者の方が好みです。(理由はいろいろとありますが、長くなるので今は掘り下げません)

ここからは更に余談ですが、高尾君とデッキを最後に調整したのは、GP東京のダークナヒリでした。
根本的に僕と高尾君では好きなデッキタイプが異なるため、あまり調整を共にすることはなかったのですが、今回のようにどちらかが相手のデッキに関心を示すと、いい結果になることが多いです。
というのも、デッキ構築論のおおまかな考え方が似通っている部分が多いのです。詳しく説明すると長くなりますが、例えば「フィニッシャーの枚数」「除去の枚数」などといった細かい枚数のフィーリングが合うのです。
逆に異なる点もあり、高尾君は「75枚の中に対抗策がないのを嫌う」傾向があって、それが僕のデッキ構築理論と全く異なるため、デッキの話をしていると、自然と楽しくなります。

デッキ構築論などについては機会があれば話すとして、そろそろ本題に。

 

■グリクシス・テゼレッター紹介

このグリクシス・テゼレッターは、大きく分けて2つの勝ちプランを持っています。

1・早いターンからトークンをばらまいてビートダウン。
2・除去と《宝物の地図》によるコントロール

攻守の要素を併せ持ったデッキです。
そしてこの好守2プランのどちらでも活躍するのが、《艱苦の伝令》・《策謀家テゼレット》の2枚というわけです。


☆ビートダウンプランの場合
2ターン目に《霊気装置の設計図》、3ターン目に《ピア・ナラー》か《異端の飛行機械職人》を唱えるだけで、もう4ターン目に《艱苦の伝令》は降臨します。

f:id:yuyanmtg:20180409153436j:plain
f:id:yuyanmtg:20180409153443j:plain
f:id:yuyanmtg:20180409153447j:plain


《策謀家テゼレット》は戦場に出た2ターン後には大マイナスの奥義を使用できるため、大きなプレッシャーとなります。


☆コントロールプランの場合
除去を重ねていきながら、《宝物の地図》を変身させます。2ターン目に唱えてそこから毎ターン除去を打ちつつ占術を行うだけで、5ターン目には宝物を3つ生み出せるため、さばきながら《艱苦の伝令》を唱えつつ、更にこのデーモンが盤面をコントロールしてくれます。
《策謀家テゼレット》はそのマイナス能力を2回使った上で盤面に残るのが強力です。

f:id:yuyanmtg:20180409153549j:plain
f:id:yuyanmtg:20180409143811j:plain
f:id:yuyanmtg:20180409143839j:plain


☆2つのプランを併せ持つのが魅力
と、このように60枚のデッキながら、まったく違った2つの動きが行えるのです。

ですが、逆にそれはデッキの動きがちぐはぐになるということでもあります。プランの異なるカードを同じデッキに詰め込んだら、喧嘩をしますからね(《ゴブリンの先達》と《神の怒り》が同じデッキに入らないのと同じように)

そしてその問題を、グリクシス・テゼレッターは解決していると言えます。

2ターン目に《宝物の地図》を唱えて手札に《ピア・ナラー》があったとしても、なんら困りません。《ピア・ナラー》は優れたブロッカーであり(こちらが先手なら《光袖会の収集者》も受け止められる)、《異端の飛行機械職人》も同様です。ビートダウンで有用なカードを引いていたとしても、《宝物の地図》を頼ってコントロールプランを取れます。
除去とクリーチャーだけがあったのなら、初速をさばいて後はビートダウンを完遂してしまえるでしょう。除去が効かないのは青黒コントロールぐらいですが、青黒はトークンを生成するクリーチャーを苦手としています。
そして前述のように、《艱苦の伝令》と《策謀家テゼレット》はビートダウン・コントロールのいずれのプランでも強力なカードです。

デッキに入っているほとんどのカードは、ビートダウン・コントロールの双方で役に立ち、それゆえに「全く異なる2プランを擁するデッキながら、引きムラが起きづらい」のです。 

これがこのデッキの最大の魅力にして、対戦相手を困らせる要因です。
対ビートダウン用の《黄金の死》を入れられたら、それを嘲笑うかのように除去と《宝物の地図》でコントロールしてしまうこともありますし、《否認》と《アルゲールの断血》で対コントロールの動きをしてきた相手にクリーチャーを連打して勝利できるのです。

ちょっとグリクシス・テゼレッターが魅力的に見えてきませんか?


■個々のカード解説

▽メインボード
・《艱苦の伝令》

f:id:yuyanmtg:20180409143811j:plain


このデッキの主役です。
最速4ターン目に着地し、手札を奪いながら、除去がなければそのままゲームを決めうパワーがあります
アーティファクトが2枚あれば《熱烈の神ハゾレト》も除去できますし、対ビートダウン性能もばっちり。
飛行機械によるチャンプブロックも-2/-2能力で許しません。
重ね引きした時の強さも尋常ではなく、連打した際の絶望っぷりは《悪斬の天使》によく似ています。



・《異端の飛行機械職人》、《ピア・ナラー》

f:id:yuyanmtg:20180409153447j:plain
f:id:yuyanmtg:20180409153443j:plain


デッキを支えるナイスガイズたち。
単体除去が強い環境なので、一度に複数のパーマネントが並べられるカードは強力です。
どちらも生み出せるのが飛行機械トークンであることから、即席の手助けもしてくれます。
特に《異端の飛行機械職人》は次のターンに確実に《艱苦の伝令》を出せるようになるため、このリレーが多いです。
《策謀家テゼレット》も守りやすく、攻守に優れたカード達です。



・《宝物の地図》

f:id:yuyanmtg:20180409153549j:plain


このデッキの隠れた主役。
単純にカードパワーが高いのですが、生み出す宝物3つを即席に使えるこのデッキでは特に輝きます。
《宝物の地図》変身→《異端の飛行機械職人》+もう1アクションか、変身→《艱苦の伝令》の展開が強力。
《策謀家テゼレット》の除去モードのアーティファクトカウントの助けにもなります。
即席の助けからアドバンテージまで何でもこなせるナイス地図。



・《霊気装置の設計図》

f:id:yuyanmtg:20180409153436j:plain


このデッキで唯一、カードパワーが少し劣っています。ただ単体で即席2つ分の助けになる点、《ピア・ナラー》というバックアップカードがあることから、採用しています。
2ターン目に《霊気装置の設計図》さえ置けば、《異端の飛行機械職人》と《艱苦の伝令》を唱えるのは容易となるので、とりあえず2ターン目に唱えておきたいカードです。
《ピア・ナラー》の能力で生贄にすればトークンを出せるので、お忘れなく。


・《策謀家テゼレット》

f:id:yuyanmtg:20180409143839j:plain


見た目よりずっと強い1枚。
というのも、このカードはとにかく奥義までが早い。出した2ターン後には奥義できるため、即座に対処を迫れます。
このデッキでは《ヴラスカの侮辱》の対象が《艱苦の伝令》と《策謀家テゼレット》で7枚あります。これらのカードを叩きつけ続け、相手の《ヴラスカの侮辱》が尽きれば勝利です。
《艱苦の伝令》から出して手札を捨てさせることが多いので、大体は《策謀家テゼレット》が残ります。

ひとたび奥義を使えば、そのゲームは速やかに決着がつきます。青黒系に最も勝ちやすいのが《策謀家テゼレット》です。

また、除去を2回使用しても場に残る点も魅力。《スカラベの神》を倒し続けてその間に《ピア・ナラー》と飛行機械トークンたちが殴り切ることも。

重ね引いた時や、即席で軽くなることのない4マナのカードであることを考慮して3枚となっています。



・《ヴラスカの侮辱》、《致命的な一押し》、《削剥》

f:id:yuyanmtg:20180409153800j:plain
f:id:yuyanmtg:20180409153838j:plain
f:id:yuyanmtg:20180409153849j:plain


定番。《ヴラスカの侮辱》は説明不要の《スカラベの神》・《再燃するフェニックス》対策。
《致命的な一押し》は《光袖会の収集者》と赤緑モンスターの永遠クリーチャーを倒すのに重宝します。
《削剥》は王神も見れる除去ですね。



・《金属の叱責》

f:id:yuyanmtg:20180409153935j:plain


このデッキでは《マナ漏出》以上になることもしばしば。
スタンダードではとにかく行動回数が大事です。相手の5マナのカード(《スカラベの神》)を4マナ(《ヴラスカの侮辱》)で対処してしまっては、こちらは脅威を展開できませんが、1マナで対処してしまえば、今度は逆に自分が相手に脅威を押し付けられますよね。
この《金属の叱責》はそんな、攻守を入れ替えるカードです。

後半に引き続けると弱いことから3枚としていますが、非常に強いカードです。


▽サイドボード
・《黄金の死》

f:id:yuyanmtg:20180409153952j:plain


赤単や白赤トークンのような横並びデッキにサイドインします。
このデッキは都市の承認を比較的容易に達成できるため、相手だけ-2/-2となります。



・《橋上の戦い》

f:id:yuyanmtg:20180409154003j:plain


赤単用の1枚です。《熱烈の神ハゾレト》が除去出来て素敵です。
このカードの枚数を増やせば増やすほど赤単には強くなるので、赤単が増えたら3枚目を検討してもいいと思います。


・《失われた遺産》

f:id:yuyanmtg:20180409154014j:plain


このデッキが苦手とするのは、ビートダウンとコントロールの2プランの内、片方が完全に効かない相手です。例えばコントロールプランが全く効かない副陽デッキです。
そのため、《失われた遺産》を2枚採用しています。
基本的には《致命的な一押し》と《ヴラスカの侮辱》から抜いていくのですが、白単副陽はサイド後にクリーチャーを大量に積んでくることがあるのを念頭に置いておきましょう。まず《威厳あるカラカル》と《アダントの先兵》は入ってくるので、《致命的な一押し》を抜いて《黄金の死》を入れることが多いです。
白黒副陽の場合は《首謀者の収得》でサイドボードに逃がした《副陽の接近》にアクセスできるため、クリーチャーは入れてきません。なので全力で除去は抜きましょう。
ただし、《削剥》はどの副陽相手にも抜かないようにしましょう。《宝物の地図》を割りたいためです。



・《没収の曲杖》

f:id:yuyanmtg:20180409154027j:plain


青白王神用です。なんだかんだこのカードが1番です。



・《ヴァンスの爆破砲》

f:id:yuyanmtg:20180409154037j:plain


青黒系デッキおよびコントロール全般に。
青黒系などに対してこちらは、飛行機械で殴れることを生かして、ビートダウンプランを取ることが多いです。
そのため、サイドボードには比較的前向きなカードを多く採用しています。
即席スペルを合わせると比較的変身条件も満たしやすく、それも魅力です。



・《チャンドラの敗北》

f:id:yuyanmtg:20180409154050j:plain


赤単兼《栄光をもたらすもの》が入ったデッキ用です。《栄光をもたらすもの》を気兼ねなく除去できるカードがほしいので、2枚目もほしいと思っています。



・《不滅の太陽》

f:id:yuyanmtg:20180409154101j:plain

青黒系デッキおよびコントロール全般に入れる1枚です。
飛行機械たちが強くなるのでかなり良いカードです。《アルゲールの断血》よりも重いですが、お互いにカードを引きあう展開より、こちらはライフを詰めたいため、こういったカードをチョイスしています。



・《原初の死、テジマク》

f:id:yuyanmtg:20180409154116j:plain


《逆毛ハイドラ》を除去したいので入ってます。《バントゥ最後の算段》と枠を争いましたが、早いターンに打ちたいわけではないのでこっちに。


・《豪華の王、ゴンティ》

f:id:yuyanmtg:20180409154128j:plain


青黒系デッキおよびコントロール全般に入れます。
やはりバリューカードでありながらクリーチャーであるという点を重視しています。とにかく殴りたいのです。



・《魔術遠眼鏡》

f:id:yuyanmtg:20180409154138j:plain


主に青黒系です。
1枚で《スカラベの神》に耐性が付くため、後ろ向きなカードではありますが特別採用です。
《アルゲールの断血》も指定でき、便利なカードです。

 

■マリガンについて

低マナ域のカードは基本的にキープ基準となります。
《霊気装置の設計図》、《宝物の地図》があればほとんどはキープしてしまいますし、《ピア・ナラー》も先手ならばキープに値します。

f:id:yuyanmtg:20180409153436j:plain
f:id:yuyanmtg:20180409153549j:plain
f:id:yuyanmtg:20180409153443j:plain


除去だけの手札ではちょっと始めづらいです。土地3、《致命的な一押し》、《削剥》《ヴラスカの侮辱》、《ヴラスカの侮辱》ぐらいであればキープできますが、ギリギリです。というかよく負けます。

《異端の飛行機械職人》と《艱苦の伝令》は手札にアーティファクトがあるかどうかで大きく異なります。
が、《異端の飛行機械職人》は4ターン目に出せそうならば(つまり手札にアーティファクトが1枚ならば)キープしてしまいます。
《艱苦の伝令》は、《異端の飛行機械職人》を4ターン目に出せる手札であれば、キープします。5ターン目に出せる公算がありますからね。

 

■おわりに

今回はデッキ紹介なので、細かいサイドボーディングやTIPSなどはありません。今のスタンダードを語れるほどにはやり込めていないのです。なので今回はこのような軽い内容で終わりとなります。
とにかくこのデッキは回していて、まるで60枚デッキではないような多彩な動きが出来て楽しいので、その魅力が伝われば嬉しいです。
ドミナリア発売まで後少しのスタンダード環境末期。手に取るデッキに困っている人や、発売直後に《艱苦の伝令》と《策謀家テゼレット》を買って持て余していた人は、ぜひ使ってみてください。